第54話 前 イメチェン
「どうすれば、カイル兄さんが、振り向いてくれるの?」
そんなこと聞かれてもなあ……私だって恋なんてしたことないんだし、教会育ちだし。ママ達はパパに攫われただけだし……。でも、今ケイリが頼れるのは私だけ。私がなんとかしないとケイリはまた自殺してしまう。山賊の件で借りできたし、友達だし。何より、ケイリはいい子だから放って置けないよ。
「そうだ! 服を買いに行こう」
「服?」
「そうだよ。そのクソダサい村娘服を捨ててオシャレな服を買うんだ!」
「クソ……ダサい? あ、うん、そうだね」
と言っても、メアリーも普通にウイッチ装束だし。
「ケイリ、カイルの好みとかわかる?」
「分からない」
「カイルがつい目で追っちゃう子とか知らない?」
「ないよ? ずっと私と2人だった」
とりあえず服だけでもなんとかしないとね。
「店員さん、この子に似合う服を選んであげて」
「かしこまりました」
ちょっと可愛いかも。ヒラヒラレーススカートに似合ってる。これならカイルもイチコロだ。
私達は宿屋に戻った。カイルはずっと私達を待ってたようだ。
「……」
カイルが間抜けのように立っている。開いたままの口を塞がない。作戦大成功? と思えきゃ……。
「また居たのか? 村に帰れ!」
「何?」
思わず声を低くした。流石にトサカに来たから。
「カイルテメェ!」
「アシュリーには関係ないことだ」
「関係ないわけあるか! ケイルは私の友達だ! テメェこそ、ケイリが何か悪いことでもしたのか?」
「……もういいよ、アシュリー」
「ケイリ?」
いいわけないだろう! だって、あんたまた自殺しちゃうじゃない! ああ、胃が痛くなってきた。
「……ケイリ、村に戻ったかと思った。なんだその格好? お子様にはまた早いと思うけど」
「メアリー! いくら恋敵と言ってもずっと一緒に戦って来た仲間なんだぞ!」
そう言えば恋愛禁止パーティがあったような……今なら納得するわ。恋なんて絶対に禁止した方がいいと思って来たわ。
「アシュリーだって知ってるじゃないか。ケイリは私達に一言も言わずに何処かに行ったのよ。今更戻って来て仲間ズラされてもさ」
もうやだこのパーティ……。ダメだ、ケイリの仲間は私しか居ないんだ。
「ケイリは強くなって戻ってきたんじゃないか!」
「ケイリはカイルのためだけに冒険者になったのよ。でもカイルは今や私の恋人。ケイリがやる気出せると思う?」
「恋人? カイルとメアリーが!?」
メイ? そう言えばこいつもカイルのことが好きじゃなかったっけ?




