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第53話 後 病気

「アシュリー、どうしてここに?」

 「……ずっと後ろについてた」

 「え?どうして?」

 「あの宿屋、壁薄いから」

なんて言葉をかけるのか分からなくてずっと後ろについてた。今もそうだけど……あーもう!

「こんなことで死ぬじゃないわよ!」

 いや、体温が低い。傘を差した私と違ってケイリはずっと雨の中で歩き続けた。とりあえず体を温めないと。宿屋は遠いんか。

 「ケイリ、立てるか?」

 「アシュリー、放っておいてくれない?」

 「バーロー! ふざけ……はあ、よいしょっと」

 「ちょっと、アシュリー」

 「思ったより軽いのね。ちゃんとご飯食べなよ」

 冒険者になるために傷を治す神聖魔法ばかり習得した。病気を治す魔法も習得すべきだったかな?

 「ごめんください!」

 「な、なにお前達」

 「ごめんくださいって言った!それより、毛布とお湯準備してくれ!ケイリが大変なんだ」

 「……」

 「金払うから!」

 「わ……分かった!」

 私ができた初めての友達。その友達が死のうとするくらいに追い込まれていた。何か私ができることないかな。

 「なあケイリ、私、人を好きになったことないから何を言えばいいのか分からないけどさ。つまりあれだ。お前には友達がいるんって言いたいんだ」

 柄にもないことを言ってしまった。

 「ありがとう、アシュリー」

 もう大丈夫なのか?いや、ケイリが自殺するのがこれで初めてじゃない。放って置いたらまた自殺するかもしれない。でもどうする?自分で言うのはあれだけど、口下手さなら誰にも負けない。

 「ケイリ、私にできることならなんでもするからさ、1人で抱え込んで死ぬくらいなら相談してくれよ」

 「……」

 「ケイリ!」

 「相談、する。でも、ちょっと待って。どこまで話していいのか、考えさせて」


 すべてじゃないと思うけどケイリは話してくれた。カイルとは幼馴染なのは分かってたけど。

 「諦めんなよ!付き合ったって結婚したわけじゃないんだろう!」

 何言ってんだ私?

 「幼馴染だからって恋人になれないなんてことないと思うよ!そうだ、普段と違う一面を見せるとかさ」

 ダメだよ!こんな、カイルとメアリーの間に割って入らせるようなことを……。

 「その暗い性格を治せばきっとカイルも振り向くよ!」

 そもそも、カイルとメアリーは本当に付き合っているのか?

 「ついでに頭痛も、肩こりも、不眠症も、治したい」

 「治せる!私が病気を治す神聖魔法を覚えてケイリの体を治してあげる!でも心の病気は神聖魔法では治せないからさ。でも忘れんな、私はいつまでもケイリの友達であり、味方だからさ」

 本当にこれでいいのか?本当にこれでケイリのためになっているのか?


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