第52話 後 ファーストキス
「メアリー、お願いがあるんだ」
「珍しいね。何?」
「僕の恋人のフリしてほしい」
「は?」
「あ……あの」
「あ、ごめん。ちょっと驚いただけ。とりあえず理由聞かせて」
「ケイリに冒険者を辞めさせてほしい」
いや、ランクアップした今、ケイリ抜いてもらったら困るんじゃない。
「ケイリの右手はもう使い物にならない、魔法の弓も使えなくなった」
「ゴーレムとかは使えるでしょ」
「それは……そうだけど。理由は言えないが、ケイリが冒険者を続くと近いうちに死んでしまう」
「メイにお願いすれば?気付いてるでしょ? メイの気持ち」
「あーまあ。だからこそメイには頼めないんだ。メイを利用したくない。メイの気持ちを弄んじゃダメだ」
カイル……。
「分かった。一つだけ条件がある」
「条件?」
「そう。ちゃんと覚悟決めて欲しい」
「覚悟?」
「そう。私を巻き込むからにはちゃんと最後までやってもらわないとね。ケイリが泣き出してカイルが先のは全部嘘、なんて言われたら堪らないからね」
「分かった!絶対にバラさない。これでいい?」
「うん」
「メアリーありがとう!ケイリを呼んで来る!」
「ちょっと待って。まずは設定を考えよう」
「設定?」
「そうね。三ヶ月前に私がカイルに告白し、カイルはそれをオーケーして皆に内緒して付き合い始めたという設定で行こう。」
「うん、分かった。じゃあ行くよ」
カイルの恋人のフリか……面倒ことは出来る限り避けたいんだけどな。ま、いいか。
で、ケイリは私と2人きりになりたいって言ったんだけど。カイルはここにいなさいよ!本当にケイリに弱いんだから!私は設定したこと以外何も答えなかった。ケイリは私から何も聞き出せないと分かり、カイルのところに行った。
ケイリは私にした質問をカイルにした。
「メアリーはなんて言ってカイル兄さんに告白したの?」
「普通に好きだ、付き合ってくださいって」
大丈夫。私は答えてなかったから答え合わせは出来ないはず。
「メアリーの答えと違うよ。ダメじゃないか、ちゃんと口裏合わせなくちゃ」
こいつ……。ダメだ。言葉だけじゃケイリを騙せない。私はカイルにキスした。ケイリは泣いた。ちょっとカイル!棒立ちしないでちゃんとキスしなさいよ。ケイリの反応は?いや、ケイリを見るではなく、目を閉じるべきだ!あ、いや、こっちの方がカイルは私のものって主張出来る!
「いやーっ!」
ケイリは飛び出した。カイルも追いかけようとしてる。
「カイル、どこへ?」
「ケイリを……」
「約束したよね?」
私だって、初めてなんだから!




