第52話 前 口裏合わせ
「ケイリ、正直に言おう。実は僕、メアリーと付き合っているんだ」
え?今何を?
「だからケイリがいると、メアリーはヤキモチするんだ。ケイリも、僕のために大切なものを犠牲にするのをやめて家に帰ろう。僕はケイリの気持ちに応えなれないから」
嘘よ。絶対嘘。カイル兄さんが私に冒険者辞めらせるために嘘をついているんだわ。
「メアリー、本当なの?」
「うん、本当だよ」
「ふ〜ん。カイル兄さん、ちょっとメアリーと2人にさせてくれないかな?」
「ケイリさんー、早口になってるよ。目も鋭くになっ……」
「2人にさせてっ!」
「わ、分かった」
カイル兄さんとメアリーさんが?絶対ありえない。
「メアリーはいつからカイル兄さんと付き合い始めたの?」
「三ヶ月前にカイルに告白した。カイルがオーケーしてくれた」
「なんて言ってカイル兄さんに告白したの」
「なんてそう言うことケイリに言わなければならないの?」
こいつ……。
「分かった。時間取らせてごめん」
次はカイル兄さんだ。
「カイル兄さん、いつからメアリーと付き合い始めたの?」
「三ヶ月前にメアリーに告白された。僕もメアリーが好きって言った」
「メアリーはなんて言ってカイル兄さんに告白したの?」
「普通に好きだ、付き合ってくださいって」
「メアリーの答えと違うよ。ダメじゃないか、ちゃんと口裏合わしなくちゃ」
「あ、違った?いやー、三ヶ月前の話だったからな」
「これ以上嘘つくのをやめよう?」
「嘘じゃない!本当にメアリーと付き合ってるんだ。この三ヶ月色々あったからそんなによく覚えてないんだけ」
「カイル、入るわよ」
メアリーが入ってきた。
「自分の恋人と別の女の人と二人きりにさせる女なんていないわよ」
「嘘の恋人、だけどね」
「そんなに証拠が欲しいのか」
「証拠も何も、嘘だから。あなた達付き合っていないから」
「仕方ないなぁ。恋人が別の女に付き纏われるのも癪だし。カイル、恋人っぽいことしようか」
「え?メアリー?」
ちょっと、メアリー、何を……。
「ちょ、やめっ!」
「……う」
メアリーがカイル兄さんに、キキキ、キス……。
「カイル、キス上手くなったね」
初めてじゃない?
「もっかいしようか」
「やめて!カイル兄さんから離れて!」
「ケイリ、またいたのか?邪魔だから外に出てもらえる?そういうこと人の前にする趣味ないんだけど」
「ケイリ、すまん。二人きりにさせて欲しい」
死にたい……。いや、ミセリアに頼めば……。




