第51話 前 心配
「ケイリはもう村に戻れ」
え?今、カイル兄さんなんて言った?
「ケイリ、村に戻るんだ」
「え?ど、どうして?私、何か、悪いことでも、した?」
「ううん、ケイリはよくやってくれた。でも、また強い魔物と戦うことになると、僕はケイリを守れる自信はない」
それなら尚更私がいた方がいい。何があったらミセリアを召喚したらいいんだから。
「私、頑張る、から。足、引っ張ったら、切り捨てていい、から!」
そうだ、これからもカイル兄さんの側にいないと!今回だって、私がいなかったら、ミセリアを召喚しなかったらきっと皆死んでた。だから!
「ダメ!私、どこにも、行かない!」
「この手紙、僕の両親に届いてほしい。お願い出来るか、ケイリ」
「いやよ!私はカイル兄さんの側にいたい!いなくちゃ!」
「ダメだ!ケイリ、頼むから。きっと僕の両親もケイリの顔見たいんだ」
ひょっとして、私がずっとお父さんとお母さんを呼んでいたから、ホームシックだと思われてるのか?
「別に、ホームシック何て、なっていない、よ?」
「違うんだ。ケイリ、とにかくケイリは家に戻りれ!」
「いやよ!どうして?どうしてそんなこと言うの!」
「ケイリ、落ち着け!」
「あ、ごめん……」
「ケイリはどうして左手で食事するのか?」
「そ、それは……」
カイル兄さん、気ついたのか……。
「あの魔物を倒した女の人はケイリの召喚獣?」
え!?どうして?お母さんがカイル兄さんに言ったのか?
「どうしてそれを?」
「当たりか」
「誰から、聞いたの?」
「僕を誰だと思ってる。ケイリのこといつも見ているんだぞ」
そう言われると嬉しいんだけど。そうか……カイル兄さんは召喚獣のことを気付いたのか。
「カイル兄さんに、隠し事は出来ない、のね。でも、私はカイル兄さんを、守る。またあんな魔物と戦うことに、なると、カイル兄さんは、死ぬ」
「僕はケイリを守らせるほど弱くはない!」
「でも昨日私が召喚獣を召喚しなかったらみんなは死んでいた!」
「それはそうだけど!それでも!ケイリの悲しむ顔なんて見たくなかった!ケイリを……泣かせたくなかったっ……」
「でも、私も、カイル兄さんの、力になりたいの」
「両親、右手、他には?」
「もう、もうないの、それに、右手も、中指と……」
「嘘だ。正直に言え!」
「あと、髪。もうこれ以上、伸びることはない。あ、でも、もう生えて来ない、わけじゃないの」
「いつのことだ……?」
「あの村で、カイル兄さんを、聖剣を刺したあど」
「……」
カイル兄さん、すごく怒ってる。
「今すぐに家に帰れ!」




