第50話 前 胎生
あの日、そう、ゴーレムを完成して実戦投入したあの日のことだ。植物の魔物は魔力がなくなるまでゴーレムに向けて魔法攻撃を放った。被害は少ないとは言えない。それでも、ゴーレム投入前と比べると、被害は少ないと言える。何より、高ランク冒険者は魔法攻撃で魔物の攻撃を迎撃する必要がなくなったことで、攻撃に魔力を回せることが出来た。そう、冒険者達は守勢から攻勢に移り、魔物に総攻撃を仕掛けた。魔力が尽きても、魔物のゴーレムへの攻撃はやめなかった。枝による打撃攻撃だけどオリハルコン製のゴーレムに確実にダメージを与えてた。木では砕けないと思ったオリハルコンゴーレムにヒビが入った。私が一週をかけて作ったゴーレムがバラバラにされた。でも、それでよかったんだ。だって、魔物の魔力を全部使わせたし、近接戦闘を得意とする冒険者達が魔物を接近することが出来たたから。そこからは早かった。魔法使い達は火属性魔法で植物の表面を焼き、近接系冒険者がコアを壊す。コアが減るにつれて、魔物の体積が見る見るうちに減っていた。
そして、ついに最後のコアを壊した。あれほど冒険者の命を奪った植物魔物は、今やただの死骸。脅威が去った、皆はそう思っていた。もちろん、私とカイル兄さんも。そう、カイル兄さんの役に立てるのはメイでも、メアリーでも、アシュリーでもない、私だ。あの時の私はそんなことを思ってた。
皆ははしゃいでた。泣いてた人もいた。喜んでいる中、誰かが悲鳴を上げた。思わず振り返ったら、冒険者が浮いていた。浮いているではなかった。胸から枝が生え、血が噴き出したあの冒険者は死んでた。何が起こってたのが誰もわからなかった、最後のコアから人形の植物が出て来るまでは。今思うと、あのデカイ植物の魔物は、子供を産むための栄養を得るために来た、かもしれない。でもそんなことはどうでもよかった。状況を把握してない冒険者達は次々と殺されていた。私も、パニックになって必死に走ってた。振り返って見たら地面から枝が生えて来て冒険者達を串刺しにした。更にパニックになった私は転んだ。腰に力が入らず、立つことさえ出来なかった。私の近くにいた冒険者も串刺しされた。次は私だ、そう思った。涙を流し、股間から暖かさを感じた私だったけど、カイル兄さんは抱き上げた。やめて、このままじゃカイル兄さんも死んでしまう、私はそう言った。でもカイル兄さんは聞いてくれなかった。この時だ。私の召喚獣が私に話をかけた。助けはいる?あの魔物を消してあげるよ。今回の代償は、主人様の両親の命よ、と。




