第49話 前 発展
「でも、魔法ギルドのお偉いさんならもう試したんじゃない。通用しなかったから人間を囮に使うわけでしょ」
「多分試していない、と思う。例えば、メイさんが、森で道を迷ってしまって。火を起こそうとして、魔力がない。メイさんは、どうする?」
「魔力が回復するまで待つしかない」
「普通はそう、するよね。メイさんは知ってる?木を摩擦、することで、火を起こせるの。知らなかったでしょ」
「知らなかった…」
「魔術師にとって、杖以外の、魔道具は魔法を、ちゃんと使えない人のための、ただの福祉用具、にすぎない」
私も普通に生活するなら困らないくらいの魔法使えるけど、冒険者になれば話は違ってくる。そもそも私みたいな魔法の才能のない女の子は冒険者になるべきじゃなかった。弓ももう使えないし、私、このパーティーに残って本当にいいのか…。
「話はわかる、それでも魔道具はもっと重宝されていいと思う。だって、治癒魔法は女神様に選ばれた人しか使えない魔法だよ。私のより全然弱いけど」
「じゃあ聞くが、アシュリーは初めてケイリが神聖魔法を使ってるところを見て何を思った」
「そうだね。神官は二人もいらない、ケイリが開けた穴を埋めるために私は誘われた。ケイリが戻って来たら一人が去るしかないと思った」
「ケイリが魔道具で神聖魔法を使ってると知った時何を思った?」
「すごいと思った。でも私を取って代わることは出来ない」
「アシュリーはいい人だ」
「何よいきなり!」
「何こいつ気に入らないって思うのが普通だ」
「そんなもん?」
「人間という生き物はね、自分の存在価値を証明できなければ生きていられないんだ。存在価値を証明する手段は主に三つ。自分を高めること、人を蔑むこと、人を助けることだ。その中でも一番簡単のは人を蔑むことだ。周りも巻き込めばいじめに発展する」
「人を助けるのが一番だな」
「違う。ああゆうの偽善というのだ。自己満足のために人を助けちゃダメだ」
「偽善?助けてもらっといてそれはないじゃない。そうゆうの逆恨みと言うのだ」
「まあまあ、人間はそんな風に出来てると僕は思うよ。社会的動物だからなぁ。人を助けたいから助ける、例えそれが自己満足につながっても別にいいじゃないか」
「そもそも偽善だとほざくやつ自体問題あるじゃないのか。自信ないのにプライドだけは一人前」
「何だと…」
「つまりだ、魔術師も神官も召喚士も才能のない人が自分の領域に踏み込めるの嫌ってる。自分で考えない人は偉いさんを盲信する。魔道具が発展しなかったのはそのせいだ」




