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第48話 前 秤

何も考えてなかったアシュリーだったがなんとか山賊頭を説得した。ただ、山賊頭の命だけで済ませるかどうか。

 「おかえりなさい。その方は?」

 「彼は山賊頭だ。山賊団は解散した。これで依頼達成だ」

 「ぎ、ギルド長呼んできます」

 何だ?あの慌てぶり。


 「駄目だ!今すぐ山賊全員を捕らえにいけ!」

 「なんてだ!?そんなに人を殺したいのか!人を殺していない人も、仕方なく山賊になった人もいるんだぞ!」

 「ただの山賊だ!いいから今すぐあいつらを捕らえにいけ!じゃないと依頼失敗として扱う!ランクアップに響くぞ、いいのか?」

 「テメェ人の命を何だと思ってる!」

 「あのクズ達の命を有効活用して何が悪い!」

 「有効活用だと?」

 「そうだ。お前らも新首都に向かう予定だったな。なら教えてやるよ。あいつらを囮に使わせてもらうんだ」

 「生きてる人を、囮に使う、だとぉ…?」

 「総ギルド長の決定だ!」

 総ギルド長がこんな決定していいのか?

 「ちょっと待って、囮って人間を使う必要あるのか?動物とかじゃダメなのか?そもそもどうして囮が必要なのか?」

 「動物じゃダメだ。魔力を持たない動物じゃ攻撃されないのだ。あの魔物は下等な魔物を操れるから魔物もダメだ。人間じゃないとダメだ」

 「囮ってなんのために?囮なしじゃ勝てないのか?」

 「今新首都に近くにいるあの魔物が放つ魔力弾は岩をも砕く。そんな魔力弾を挨拶するようにぶっ放してくるんだ!だが、あの魔物の魔力も無限ではない。魔力を使い果てから挑めば勝てるはずだ」

 「使い果たすって何発撃てば魔力が空になる?そのために何人が死ぬと思ってるの?命だぞ!」

 「黙れ!小娘に何かわかる!いいか、冒険者はこの国の一番大事な資源だ。一人前の冒険者を育てるのに何年かかると思ってる!お前らもわかるであろう、誰も冒険者になるわけではない。犯罪者の命と冒険者の命を天秤にかけられるものだと思う?」

 「他に方法ないのか?冒険者だけじゃ本当に倒せないのか」

 「倒せる。でも倒せる倒せないだけの問題じゃないんだ。冒険者の被害を如何に抑えるのが重要なんだ。今冒険者は殆ど新首都に集まっている。その冒険者達のニ割が戦死した。今我々がどんなに厳しい状況にいるのかわかるか。冒険者を減ると国力も下がるんだ。そうなれば他の国が攻めてくるかもしれないんだ。これ以上冒険者を死なせたくないんだ!分かれ!大人になれ!そして黙って山賊達を一人残らず生け捕りにしてこい!」


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