第44話 前 沼
「ケイリ、どうにかしてあの子を救って!お前しか出来ないのだ!」
「皆ケイリを守るんだ!」
「分かった!」
「今だ! あの子も捕らえろう!」
「皆、村人をケイリに近づかせるな!」
「ちょっとやめてよ、ゲス野郎ども!でめぇらも別にあの子を死なせ、いや、殺すつもりはないでしょ! 少し時間くれよ!」
「…分かった…治療終わるまで待ってやれ」
「礼は言わんぞ」
まずは止血ゼリーで出血を止めないと!…あれ?さすがアシュリーと言うべきか、出血はもう止まってる。でも、血が足りない。即効性のない薬じゃどうにもならない。ワンドを書き換えるしかない。
「ケイリ、何をモタモタしてる!早くしないとあの子死ぬぞ」
分かってる!私だって、必死にやってるのに。器用貧乏…いつだってそう…いっそ、私が人質になって、アシュリーがこの子を治す…とか。
ううん、何考えてるの、私…。集中、この子の命私にかかってるんだから。
なんとか一命を取り留めた。
「よくやったな、ケイリ!」
でも状況が良くなったわけではない。アシュリーが人質としてとられてる以上、どうしようもない。もうああするしか道がない…よね。アシュリーは友達だし、カイル兄さんも…こんなところで立ち止まっていい人じゃないし。
それに、私…今以上皆の役に立ちたい。私は弱い…。このパーティー、私がいても、いなくても、何も変わらない。私がいなくてもいいの。それなら…。
「あの…実は…呪いを解ける方法…あるの…」
「ケイリ、本当か」
「…うん」
「どうやって?」
「村長さん、二人だけで…お話したいの」
「ケイリ?」
「村長、だめよ。きっと村長を殺す気だわ」
「私を殺しても何も変わらない。彼らも分かってるはずだ」
「カイル兄さん、心配しなくて…いいから。ここで…待ってて。あ、聖剣…貸して」
仕方ないよね。こうするしか…。
「村長さん、私の召喚獣なら…この村の呪いを…完全に解くことが…できる」
「本当か?」
「うん」
「お嬢ちゃん、頼む、この村を救ってくれ」
「約束して、呪いが…解けたら…もう…私達のこと…ほっといて…ください」
「勿論だども!」
「ミセリアさん…お願い」
「はい、主人様。では、約束した通り、対償を貰い受ける」
聖剣から魔法陣のようなものが出て来て、ミセリアの鎖に貫かれて消えた。村長は突然服を脱いて叫んで部屋の外へ出た。
「皆、呪いの烙印は消えたぞ! 呪いが解けたぞ!」
「ケイリ、一体どうやって」
切り落とされることなく、右手の親指と人差し指と薬指はちゃんと残ってる。でも、もう動けない。痛みも感じられなくなった。
「ケイリ?」
「呪いは…解けた。疲れた。もう…帰ろう」




