第43話 前 人質
「こんなの、溶かしてやる」
メアリーさんの範囲魔法。流石だね。
「ダメだ、一撃で仕留めきれない」
そんな、体の半分以上溶かされてもまだ動ける…。
「ダメだ。全員参戦するんだ。勇者様は人を殺せないはずだ」
え?そんな卑怯な…。村人を巻き込むから範囲魔法は使えない。魔法生命体もしぶといし。このままだとジリ貧になる…。打開策、考えないと。って危ない。冷静に策を考える状況じゃない。とりあえず弓で村人の武器を撃ち落とそう。この弓は自動照準出来るから簡単に出来る。
ダメだ。撃ち落としてもまた拾えばいいのだから。と、魔法生命体の一体が光って消えた。何が起きたの?
「アシュリー、でかした。皆アシュリーを守るんだ。魔法生命体は神聖魔法に弱いんだ。メイ、防陣を張って地面も凍らせるんだ。メアリー、村人達の武器を溶かせ。ケイリは頭を回すんだ」
「う、うん」
無駄だ…。一体ずつ浄化しても召喚のスピードに追いつけない。そうだ! 狙うべきのは村人の武器ではなく、魔法生命体を出す魔道具だ。
直接魔道具を狙ったら、村人に狙われるし、身を挺して庇えそう。こうしよう。空に向かって矢を放つ。
よし!空から矢が降ってくるなんて誰も思わなかった。でも壊していいのかな。村人達困るんでしょうね。いや、壊した方がいいかも。これで冒険者を騙せなくなるから。
「なんてことを!」
「ケイリ、よくやった!皆耐えろう!ここが正念場だ」
魔法生命体はアシュリーに任せて、私は村人をなんとかしないと。メイの氷はの妨害効果あんまり高くない。マキビシでも使うべきか?でも、人に使いたくない…。粘着ボールは?ダメだ。靴脱げばいいのだから。閃光弾なら…ダメだ。味方を巻き込む。目を閉じって、なんて叫んだら村人達も目を閉じるし。ゴーレム…ダメ、登録してない村人をぺちゃんこにしてしまう。
皆が頑張ってる中、私だけ何も出来ずただ立ってるだけ。また、私だけ…。
「村長、これで終わりだ。返らせてもらう」
「待って、この子どうなってもいいのか」
自分の村の子供を人質にするなんて…。村人を傷付けず戦ったのが仇になったか。
「村長、正気か」
「ああ。勇者様がこうさせた。この子が死んだら、勇者様のせいだ」
「どんな理屈だよ」
「カイル、もう行こう」
「ケイリ、あのナイフ、矢で折れる?」
「何コソコソ話してるんだ?」
「僕が村長の気を逸らす、その隙に」
「う、うん」
「村長、後ろを見てみよ。この子の母親の顔を見てみるんだ」
振向いだ。えい!
よし!ナイルに当てた。って、あの男の子、落ちた刃を自分の喉に当てた。
「勇者様、ごめん」




