第38話 後 裏切り
「ケイリ、何かいい案でも思い付いたのか」
「あ、いや」
言ってどうするの? カイル兄さんに知られたら失敗するし、村長や村人に知られたらカイル兄さんにすがりつくし。
「何でも、ない」
「ケイリ、何かを思いついたら言って欲しい。ちゃんと聞くから」
「あーもう、イライラする。早く言え!」
どうする? 言うべきか。そもそも誰に言うべきなのかわかんない。
「…私、言い、たくないの」
「どうして?」
「言ったら、カイル兄さんが…。それに、意味が、なくなる」
「意味がなくなる? どう言う意味だ?」
「…そのままの、意味。カイル兄さんに、言ったら、…効果が、なくなる」
「そうか。大体分かった。じゃあ聞かない。村長、ケイリの言う通りにしよう。ケイリは恐らく呪いを解ける方法を思い付いたんだ」
「そんな方法あるのか」
「待って、カイル兄さん。呪いを、解ける条件、憶えてる?」
「ああ、僕の血だろう。そうか、ケイリは僕のことを心配してるのか。でも大丈夫。僕の血で皆を救えるなら」
どうしよう…。本当にやるの? 下手するとカイル兄さんの心が壊れる。
え、ちょ…村の皆何してるの? 地面にキスしてるの?
「お願い、この通りだ」
「皆さん、何してる、のですか」
「知らないのか? これがこの地方での誠意の見せ方だ。お願いだ! たったの十年だが、満月の度に犠牲者出るのを防げるんだ!」
「…やっばり、ダメ。カイル兄さんが、想像するより、ずっと、酷い目に、遭う、ことになる、から」
「それでも僕はこの村のために何かをしたい」
「カイル兄さんを、殺そうと、しても」
「ああ、そうだ。これが騎士だ」
「どうしても、やるの?」
「どうしてもだ」
「そうか。分かった」
私とカイル兄さんが部屋を貸して貰った。
「縄で、縛るよ」
「え? どうして?」
「いいから」
「分かった」
「あと、これを飲んでください」
「これは何?」
「飲んで」
「教えてくれないんだね」
「すぐに、分かるよ。はい、あーん」
「あーん」
飲んでくれた。あとは待つだけ。
そろそろかな。
「ケイリ、この縄を解いて! 何で僕が縛られなければならない」
「それはね、この聖剣を、カイル兄さんの胸を、貫くから」
「ケイリ?」
「さよなら、カイル兄さん」
「ケイリ、やめろ! どうしてこんなことを」
「カイル兄さんが、どうしても、って言ったから。さあ、カイル兄さん、安らかに、お眠り、ください」
「ケイリ、やめるんだ! ケイリ!」




