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第37話 前 もやもや

「勇者様、お願いです! 何卒、何卒、聖剣を携えて、魔物を退治してください! 勇者様はどうやら縛られるのはお嫌ですが、ご心配なく。魔物を退治した際、聖剣を返還してくだされば冒険者続けても構いません。何卒、この村を救ってください!」

頭を下げた村長に悪いんだけど、やはりなんか怪しい。

「あの、村長さん。魔物は、神聖な力に、弱い、なのですか」

「そうです。ですから、是非、聖剣を使って退治してください」

「魔物の、種族は、なんですか」

「一種の魔法生命体でございます。詳しいことはよく分かりません」

「てめえ、このやろう。適当なこと言ってんじゃねぇ! 神聖な力に弱い魔法生命体なんて聞いたことない」

「なんだお前…神官のくせに言葉が汚いぞ」

「あ、えーと、て、うめえ、この、えーと、アフロって言ったんだよ。聞き間違いなんじゃない?」

アシュリーったら。でも、そうか。アシュリーさんは神官だから神聖な力に弱い魔物に詳しいはず。村長はこんな見え見えな嘘をつくまで、カイル兄さんに聖剣を持たせたいのね。

「はぁ…詳しいことはわかりませんが魔法使いの方があの魔法生命体は神聖な力に弱いと教えて下さった」

「カイル、どう思う?」

「そうだな。勇者補佐もいないし、冒険者も続けるし。悪い話じゃないかもしれない」

悪いことじゃないかもしれないけど、どうも腑に落ちない。

「あの、村長さん。どうして、そこまで、カイル兄さんに、聖剣持たせたい、の?」

勇者になって欲しいわけではなく、ただカイル兄さんに聖剣を持たせないみたいな感じ。

「勇者様の実力は存じ上げておりませんし。聖剣に選ばれし勇者様が聖剣を持って魔物を倒してくれると知ったら、村の皆も安心に暮らせるんでしょう」

「そうだったんだ。お安い御用だ。皆、僕はしばらくの間勇者になる。皆、異存は?」

「呆れた…それ聞く? もう反対する理由ないから好きにしなさい」

「ケイリは?」

やはり村長のことを信用できない。でも、証拠がない。これは、村長に対する偏見…村長は何か良かなぬことを企んでいるのも、ただの邪推に過ぎない。

「わからない。カイル兄さんの好きなようにして」

「そうか。では村長、暫く聖剣を預からせてもらう」

「お、おお。ありがたやありがたやぁ」

「では早速出発しよう」

「待って、待たれよ」

「何?」

「まずは宴です」

「宴?」

「そうです。村の皆さんに知らせて安心させるのです」

「いや、さっさと魔物を倒した方が村の皆さんを安心させるんじゃない?」

「いえいえ。短時間に全滅させられる数ではないんです。まずは宴じゃ」

「はぁ、仕方ない」


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