第36話 後 選択
「おめでとう、あなた様は聖剣に選ばれたのだ! 新しい勇者様が誕生したのだ!」
「え…」
カイル兄さんが勇者…。カイル兄さんならなれるとは思ったけど。
「僕が、勇者?」
「そうさ! あなた様こそが我々を救ってくださる勇者様だ」
「ちょっと待って、一先ず皆と商談してみる」
でも勇者か…。カイル兄さんが勇者にふさわしい人だと思うけど、私は勇者の仲間にふさわしくない…。
「皆の意見を聞きたい」
「じゃあ言わせてもらう。カイル、私は反対だ。私は冒険者続けたい。聖剣のおまけの仲間にになるつもりはない」
「私も反対よ。冒険者やってて分かったのよ、アンデットはそんなにいないってことを。神聖な力ってそんなに必要じゃないよ。少なくとも命をかけるまで手に入れるべきものじゃない」
「そうか。そうだな。メアリーはどう思う?」
「賛成とか反対とか、そういうの言うつもりはない。そうだな、神聖な力とかはさておき、聖剣の切れ味は他の武器のと比べにならないほど良い。カイルも分かってるでしょ、ランクが高い魔物は硬いだということを。いずれシザーズモードも通用しない魔物と戦うことになる。呪いのことはそこまで心配する必要はない。だって、今回は勇者補佐がいない。でも、メイの言う通り、勇者になればそれ相応の責任が生じる。まあ、どうするのか、決めるのはカイル、お前だ」
次は私だ。私は何を言えばいいの? 正直勇者でも、冒険者でも、コックでも、執事でも、カイル兄さんさえよければ、私は何処でもついて行くつもり。
「ケイリはどう思う?」
「カイル兄さんは、最初から、勇者になるつもりは、なかったでしょ。カイル兄さんは、お父様のように、なりたくなかったから。立場に、縛られたくない、から」
「はは、流石ケイリだ。お見通しか。そうさ、僕は最初から勇者になるつもりはない。そういうことだ。すまんな、村長」
「そんな。聖剣に選ばれし若者よ、どうかこの村を捨てないでおくれ! この村の近くには凶悪な魔物の巣があるんだ。どうか、どうかっ!」
「大丈夫。僕は勇者にはならないが僕達は冒険者だ。魔物を倒す為に来た!」
カイル兄さん、カッコいい!
「いや、魔物を倒してくれるくらいなら勇者になってくだされ! せっかく聖剣に選ばれたのに」
おかしい。どうしてそこまでカイル兄さんを勇者にしたがる。それに、そんなに勇者にしたければ呪いのこと黙っていればいいのに。




