第34話 後 山賊の娘
「私が神官になった理由か。いや、大した理由はないけどさ。うん、何処から話せばいいのか。そうね、私の父は山賊だ、誰かは分からないけど」
「分からないの? どうして?」
「それは、拐った女が頭が先に…、ゴホン」
頬染めてる…。やめて、こっちも恥ずかしくなるから。
「頭が…たら、下っ端達が…。だから、母はわかるけど、誰が父なのかは分からない。当然あの屑どもも私は誰の娘なのか分かんない。父親の気分を味わいたいのか、ただ子供が好きだったのか、理由は分からないけど、一番最初に産まれた私を可愛がってた。弟と妹は5人もいるのにね。誰と血を繋がってるのはわかんないけど、全員私の家族だった」
え? アシュリーって山賊の娘なの? それでどうして神官になったの?
「そんなある日、1人の騎士が来て、お父さん達を全員殺した。父達は殺されて当然なクズだったけど、あの頃の私にとって普通にいい父だったんだ。なのに、あの騎士、私達のことを拐われた子供と勘違いして、もう大丈夫だ、助けが来たとほざいたのよ。笑えるだろ」
笑えないんだけど。
「そしたら、私が木の棒を持ち上げてあいつを力一杯殴った。あの時のやつの顔と言ったら、あははは。その後、あの騎士、何言ったと思う? うちに来ないってさ。頭おかしくない? 山賊だといえ、私の父達の仇の家に行く? 年下のが5人もいるのに、一番年上の私を引き取るなんて、バカなんじゃないの? 所詮あいつは私を世話することで自分の罪悪感を消したいだけだ。そうよ、私はあいつの家に行ったよ。その日以来、私は何度もあいつを襲ったけど、一度も成功しなかった。あいつは普通の騎士じゃなくて、パラディンだったらしい。私の神聖魔法の才能を気付き、神殿に送った。そして、私は神官になった。神聖魔法をそれなりに使えるようになったら、施設にいる私の家族のために、私は神官をやめ、冒険者になって、今に至る。これが私のつまらない過去だよ」
アシュリーさん、強い。辛い過去をなんか冗談っぽく言うし。
「そうか。アシュリーの過去を聞けて嬉しいよ」
え、ちょ、カイル兄さんも初耳なの? ていうか、皆聞いてたのか。
「はいはい、暗い話はここまで。明るい話しようよ! そうだ、皆、国境に行けばこんな美味しい料理食べられないかもしれないから
「そうだな、じゃあ、女将、おかわり!」
「はいよ!」
「ちょっと、カイルの奢りだからって」
「いいよ、どんどん頼んで」
やはり、秘密を話さなければ仲良くならないのかな…。私もいつか召喚獣のことを皆に話す日が来るのかな?




