第32話 後 皆
「ケイリは薬作れるし、アイテムに詳しいし、人の役に立てるはずだ。明日から人助けすれば良いのに。人助けはいいよ。心が満たせる」
カイル兄さん、今の私にはそんな心の余裕はないのよ。
「分かった」
今の私はただ休みたいだけ。誰からも邪魔されることなく永遠に眠りたいだけ。あの世は暗くて寒いと聞くけど、静かそうで案外悪くないかもしれない。
「ケイリ…」
心配そうな顔してる。
「大丈夫、心配しないで」
「僕が心配してることは分かるんだね。だったら僕を心配させるようなことをするんな」
「…」
「ケイリ、やはり冒険者を続けろ」
「…え」
もうどうでもいいの。結局私なんて役に立たないし。
「メイ、いいだろう?」
「呆れた。好きにすれば?」
「決まりね。…ケイリ」
「お前…」
「痛っ」
メイが私の頬を叩いた。
「いい加減にして。いつまでも悲劇のヒロインぶってんじゃないわよ。こんなにもお前を心配するやつがいるんだ。何自棄になってんのよ。ふざけないで」
だって、私はもう疲れた…。でも、私は今カイル兄さんに悲しい顔をさせてる。
「メイ、やりすぎ。ケイリ、大丈夫」
「うん。大丈夫」
「ランクアップ出来なかったのはケイリのせいではない。ケイリに冒険者を辞めさせたのはケイリを心配してるからだ」
もう1人にさせない…。
「腹減ったからとりあえず何かを食べよう」
「そうだな」
そういえば私もお腹が空いた。
「ケイリ、神官として言わせてもらうが命は大切にすべきだよ。軽々しく捨てるんじゃないよ、バーロー」
「そうだよ、ケイリ」
なんか皆一件落着しようとしてる。それは、私も皆の目を引きたくて死のうとしたんじゃないけど…。ここにいたくない。辛い。
「ケイリ、美味しい? ここの料理、結構イケてるんだ」
味が分からない。カイル兄さん、心配しないでよ、お願いだから。今強がりしたくないのよ。
「ケイリ…。僕には、いや、自由と正義はケイリが必要なんだ。ケイリ、ちゃんと聞け。僕たちはただの人間だ。どんなに頭がいい人でも、全てを掌握できるわけではない」
「ケイリ、自惚れしてんじゃないわよ。私達はお前を頼りきるほど落ちこぼれていないのよ。皆で頑張るのよ。つ、つまりあれだ、この皆というのは、ケイリも含まれてるということだ」
疲れた、今は死ぬ気力も失せってしまった。だって、この人達は死なせてはくれない。薬飲んでも、アシュリーいるし。カイル兄さんを、悲しませるのも、嫌だし。




