第31話 後 明日
ケイリの反応はあの時と同じだ。お母さんに虐待されたあの時と…。何もかも諦めてるような。今のケイリに何を言っても無駄だ。だが、目を離しちゃダメだ。
「カイル、鏡見てみようか? 立派なストーカー見れるはずだよ」
「ぐ、メアリー、心刺さるからやめて」
「ほら、薬作ってるし。また冒険者諦めてないんじゃない?」
「良かったな、カイル」
そうか、よかったな。別に冒険者にならなくても、薬師になればいいからな。
「カイル、いつまでもストーカー行為を続くつもり? もう夜だよ」
「出かけたよ」
「お前達も付いてくるのか」
「私達がついて行かないとカイルが通報されてしまうから」
「お前らなぁ」
町から出たぞ。どこに向かってるんだぁ? 草原? そっちは家に帰る道じゃないんだよ。
「眩しい…。こう見るとケイリは結構強いのね」
「メイのように召喚獣を召喚出来ないが、ゴーレムを出せる。メアリーほどの魔法は使えないんだがワンドとアイテムで状況を変える。アシュリーくらいに回復魔法は使えない、だがケイリには薬を作る才能とワンドで回復魔法を使える知識がある。ケイリはどれだけの努力したのか…」
「でも性格がね。もうちょっと明るかったら…」
ケイリの笑顔が見たことないからそんなこと言えるんだ。そういえば、冒険者になった以来、僕もケイリの笑顔見たことないんだな。
ケイリを冒険者に誘わなかったらケイリはもっと幸せになれたかもしれない…。
「お前も原因だ、カイル。お前はいいリーダーなんだけど、ケイリがいると、お前はケイリばっかり気にしてそわそわするからよ。どの道ランクアップは出来ないと思うけど、ケイリを宿屋に送るためにクエストをリタイヤしたことはもう忘れたと言わせないよ」
「忘れてないよ。だが、ケイリだけじゃない。お前らが同じ状況に落ちっても、僕は同じことをする。これぐらい分かるだと思うけど?」
「まあ、そうだけどさ」
ケイリは広い草原に立つ一本の木の前に足を止め、幹に背を預け、薬を取り出して飲んだ。そしたら、ケイリはバタンと倒れた。
「ケイリ! おい、アシュリー!」
「分かった」
「ケイリはどうした? どうして突然倒れた?」
「毒と麻酔」
「麻酔は後でとにかく毒を」
「分かってる。少し黙ってろ」
ケイリ…。僕のせいか、僕がケイリを追い詰めたのか。
「ケイリ、目、覚めたか。よかった。どうしてこんなことを?」
「明日から、何をすればいいのか、わからなくて」




