第58話 前 エゴ
「分かった。話すよ。ただ、話せる部分だけだ。それと、話すなら皆にだ。ケイリ以外全員呼んでこい」
本当は人の秘密を他人に教えたくない。しかも、僕も直接にケイリの口から聞いたんじゃなく、推理をケイリに確認しただけ。本当に話していいのか。でも、皆に迷惑かけたし。話さなければならないとは思ってる。せめてケイリに許可を取るべきか? でも拒否されたら何も始まらない。僕だって、皆とならもっといい方法を思いつくじゃないかって思ってる。ケイリ、ごめん!
「話って?」
「カイルのケイリへの態度がおかしい理由を話してくれるだそうよ」
「へ〜」
「……」
アシュリーは無言か。アシュリーはケイリの友達になったらしい。僕がケイリの唯一の友達ではなくなったがとっても嬉しい。
「話せる内容だけ話す。ケイリには特殊な力があって、僕達はもう何回も救われた。だが、その力には代償がある。ケイリは既に髪、右手と両親を犠牲にしてる。これ以上ケイリにその力を使わせないためにも、ケイリをパーティーメンバーから外すしかない」
「なるほど、だから私と恋人のふりをしたのか」
「「……」」
あっ……!
「メアリー、今なんと!?」
「あ、カイル、ごめん。口すべちゃった」
こいつ、わざとじゃないよな?
「で、話戻すんだけど、ケイリをメンバーから外すにはどうすればいいのか」
「使わないでって言った?」
「言っても無駄だ。僕達に内緒にしいてこっそり使うだけだ。実際僕が気づかなかったらずっと黙ってた。僕達がピンチに落ちったらケイリはきっと躊躇なく使うんだろう」
「そんなに強いの?その特殊の力ってのが」
「あの樹の魔物を倒したのがケイリだ」
「……それはすごいね」
「で、その代償が親の命だったわけね。安いもんじゃない?」
「メアリー、お前!」
メアリーは頭がいいが時にこういうみんなの反感を買うようなことを言う。
「だってそうじゃない? あの魔物は沢山冒険者の命を奪ったのよ。2人の命に引き換えて倒せるなら安い物じゃない?」
それはそうだが……。
「それでも、ケイリを犠牲にしていい理由にはならない」
「いいんじゃない? ケイリは自分の意志で選んだことだから。別に誰から強制されたわけじゃないでしょ? 自分のエゴをケイリに押し付けてないと言い切れる?」
「だとしても、ケイリはその力を使うべきじゃない! そもそも、ケイリは冒険者になるべきじゃなかった! 誘うべきじゃなかった」
「呆れた……私はこんな男に惚れたのか?」
「メイ……」
「とりあえずケイリを説得してみよう。ケイリを納得させなければメンバーから外してもついてくると思うし」




