第57話 後 自分に合った仕事
「みんな、よくやった! ケイリ……ケイリもよく頑張った」
危ねえ! 口滑るところだった。ケイリを褒めじゃダメ。ケイリに自信を持たせるとますます帰らなくなるし、今以上無茶してしまうかもしれないし。
とはいえ、ケイリなしじゃ今回の依頼はこなせなかっただろう。いや、いやいや、大丈夫だろう。クマムカデは強敵であって難敵ではない。即死攻撃もなければ、一匹一匹麻痺毒を持ってるわけでもない。手間は掛かるが時間さえあれば倒せない相手ではない。噛み付きもメイの堅牢の陣とアシュリーの回復で対処出来るし。確かにケイリなしじゃメアリーは広範囲魔法は使えなかったし、本体もそんな簡単に見付けることはできなかった。が、メアリーは普通に魔法を使ってて、着実にクマムカデの数を減れしてた。本体も普通に戦闘に参加してたから別にペイントボールを使わんくてもいずれ本体を倒せた。つまり、ケイリがいると時短は出来るが、いなくても別に困らなかったんだ。
「うわ、これなかなか落ちないよ。ケイリ、これどうやったら取れるの?」
「1週ぐらいで、落ちる、よ?」
「い、一週!?」
ケイリを追い込めば自殺するかもしれない。
「ケイリ、アイテムに関する知識は見事だ。だからケイリは冒険者ではなく、アイテムの研究や、開発、販売した方がいいと思う」
「それは……」
「あ、それな! 私もケイリはそっちの方が合ってる思う。虫さえ殺せない顔してるし」
「呆れた。今回の一番役になったのはケイリでしょ。ちゃんと褒めるべきなのでは?」
「いや、褒めてるよ。ケイリにはもっと相応しい職業があるって言ってるだけ」
「まあ、それはそうかもしれないね。ケイリみたいのが増やせば、神官不足問題も解決できるし、召喚士や魔法使いの才能のない人達もより冒険者になりやすいし」
「そう、そういうのが言いたいのだ。なあ、ケイリ」
「……」
ケイリは何も言わずに走り去った。追わないと!って思ったけど、メアリーは僕の裾を掴んで首を振った。
「アシュリー、頼んだ」
「言われなくても分かってるよ、ボぉーケっ!」
アシュリーの僕への印象がどん底まで落ちてるな。それでも、ケイリが僕以外の仲間を持ったことに喜ぶ僕がいた。
「あのさぁ、カイル。私もケイリのことがあんまり好きじゃないけどさ、なんか最近カイルのケイリへの態度がおかしくない? カイルらしくないし、気になるから教えなさい! 場合によってはこのパーティーから抜けるかもしれないから!」




