第57話 前 も
「みんな、準備はいいか!」
一瞬で囲まれた!
「「「もちろん」」」
「じゃあ行くぞ!」
上手く行くのかな? 頼られているのに、こんな正攻法しか思い付かないんだなんて。
「メアリー! メイ!」
「はいよ」
上手くいきますように! 上手くいきますように! 上手くいきますように! メアリーは酸性雨の魔法を発動した。メイも退魔の構えを発動した。私達は用意してたものを頭の上に広げた。葉っぱいっぱい詰めこんだ濡れた布袋。酸性雨はそれほど強くない範囲魔法だってメアリーは言っていた。弱すぎる魔法だとクマムカデに有効なダメージを与えない。かと言って強すぎると防ぎ切れない。ない頭を搾って必死に考えたの! だからお願い!
「雨が止んだ! ケイリ、やったね!」
効果は、あったようだ。クマムカデ結構死んでる。でも、またたくさんのクマムカデが動いてる。本体は生きているようだ。う、それにしてもひどい匂いだ。まあ、これからもっとひどい匂いになるけど。これ、効くかどうかはわからないけど。
「えい!」
「ケイリ、何それ、臭え! 鼻塞いているのに!」
「うげ……」
魔獣の糞を発酵したものだけど。匂いに敏感だと睨んでいたけど、どうかな? 効かなくても少しでも意思伝達を阻害できれば御の字だけど。
「逃げて行くよ!」
「追え! メアリー、詠唱を!」
「分かってる」
メアリー私より活躍してる。やだ、こんな時なのに、私、何を考えているの?
「ダメだ、間に合わない。逃げ足の速い奴らだ」
良かった。あ、ではなく、残念だ。
追いついたというかまた襲われてる。でも匂いが染みたせいか、攻勢が弱くなった。
「みんな! ここからは耐えるしかないんだ! 耐えろ!」
「堅牢の陣!」
みんなに硬化の薬を飲ませた。もちろん肌が荒れる副作用のことは黙ってた。黙ってたというより、言えなかった。言ったら女性陣は飲めないでしょうし。終わったあと言ったらみんなに殺されそう……。でも、言わなくちゃ、ねぇ。ううん、メアリーにだけ内緒に……。ダメだ! メアリーだって味方じゃないか? でもまあ……あ、私何を! おばあちゃんが教えてくれた魔法の言葉をこんな風に使っちゃダメだ。私、本当にどうしちゃったんでしょ?
「私、麻痺った!」
「ケイリ!」
「う、うん!」
声からしてメアリーか。事前に恨みっこなしって言ったから悪く思わないでね! ペイントボール! あの色なかな落ちないけど、メアリーさん、ごめん!
「みんな色染みたクマムカデを狙え!」
そして、クマムカデたちが動かなくなった。
「みんな、よくやった! ケイリ……ケイリもよく頑張った」
も……って。




