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第三章第二話 セマニャ到着

ファンタジー世界は身分不明者には優しいですね。

「ねぇねぇ、ショウのこと、もっと教えて!」


これはいわゆるガールズトークか。


シエンのテントがギリギリ二人分入れるので、ルーツやケイトのご好意もあってシエンと一緒に休むことになった。

これでちゃんと休めるなと思って横になった途端、ガールズトークが始まってしまった…。


「え、特に言うようなことはないと思いますが…」


「今まで付き合った女子とか、好みのタイプとか、なんでもいいよ!いとこでしょ?」


「本当に知りません…ごめんなさい。」嘘を付けようもない。本格的に話したのはこっちの世界に来たからだし、もとの世界ではただすごくモテるという情報しか持ち合わせしてない。


「へえ…もしかしてエミリーって、ショウのこと好きなの?そんなかっこいい人がこんなにも側にいるもん、何も感じないなんてありえないよ?」


「さっきアイツにも言ったけど、さっさとどこかの女性と結婚してどこかへ行ってもらいたいと思ってます。もしシエンさんされよければ持って行ってください。」


「えええええ?!いいの?!」

それほどびっくりすることなのか、さっぱりわからない。イケメンは、ほとんど観賞用に限るし、アイツとなればそばにいては色々と面倒くさいから別にいらない。


たぶん見張り中の男子陣にも聞こえるほど大きな声だったなと思ったら、


「おい、さっさと寝てろ。疲れたろ?」

アイツが軽くテントの天井部分を叩いた。


「はーい、おやすみ、ショウ♡」

まだ言い終えてなかったのに、外の足音はもう離れていったのを聞こえて、少しがっかりしたシエンも横っになった。


まあ、がんばってね、と思いながら眠りについた。


*************************



シエンたちと出会って3日目の夕方、やっとセマニャという街についた。

さり気なくシエンたちから聞き出した情報では、

今いる世界で一番大きな大陸スィワで、一番大きな国クリューゼの三大都市の一つだそう。

なるほど。

さすが一万人以上は暮らしている規模がある。

まだ街には入ってはいないが、街全体を囲んでる高い壁の上からはみ出てる高い建物もちらほらと見かける。うん、これはある程度の生活ができそう、と少し嬉しくなった。


かなり重要な都市なので、検問を通らなければ入れないらしい。


「大丈夫、お前たちみたいな田舎から出てきて新しい生活探そうとしてる若者、結構多いから、普通にしていれば通れるよ。」言いながらルーツは上着のポケットからカードらしいものを取り出した。


「これはなんですか?」アイツがルーツに聞こうとしたら、


「これは冒険者の登録証なの!これさえあれば、世界中ほとんどの街にはすんなりと入れるよ!」とシエンは誇らしげに自分のカードをアイツに見せた。


「なるほど…やはり登録しとこうか?」とこっちに話を振った。


「じっくりと考えたからにします。登録したいであれば先に済ませてくださいね。」とわざとらしく笑って見せた。


「次!」検問の兵士たちがこっちを見てる。


「こんにちは!」シエンが愛想よく兵士たちに挨拶した。


「あと二人分は?」兵士たちがシエンに向かってヘラヘラしてるから、隊長らしい兵士は仕方なくルーツに尋ねた。


「あ、この二人は田舎から出てきたものです。これから登録に連れて行きます。」


「そうか。」隊長らしい人と目があった。「まあ頑張れよ、新人。」


「ありがとうございます。」と言いながらお辞儀した。

ここに暮せばお世話になるかもしれないと思えば、ちゃんと挨拶したほうがいいかな。


そしてすんなりとセマニャの街にに入れた。


まず驚いたのは、クシェにいたままなら想像もできないほど、街が綺麗。

色どりの煉瓦で建てられた建物が、キレイに整列されて、足の下にはしっかりと細かい石ごろが敷かれている。

夕日の橙色の光のしたで、まるで美術科で見た絵画のような景色。

果てが見えないような中央商店街には活気が溢れている。賑やかなのに、騒音といえる音がまるでない。

行き交う人たちはきちんとした服装を着て、誰もがのんびりとした足取りで歩いている。


気に入った。

引きこもるならここがいい。

これは頑張ってなんとかお家借りられるまではなりたいものだね。


「さーて、俺たちは冒険者ギルドに行くか、お前たちはどうするんだ?」ルーツがアイツに尋ねた。

いつもアイツはこっちに返事を求めるが、結果的にはアイツが話をまとめてるので、ルーツたちはもうこういう流れが慣れてしまっている。何かあればまずアイツに聞けばいいと。


「色んなギルドにも見てみたいので、あとで決めようと思ってます。」チラッとこっちの反応を見て、そう答えた。


「宿はどうするの?」


「安いのを探してみます。」


「じゃあ俺たちも泊まる予定のところでいいかな?街中央からかなり離れているが、値段の割にいい宿だぞ。」


「いいんですか?」


「もちろいいよ!ショウとはまだ話したいことがあるもん♡」ハート目状態はたぶんアイツが視線の中にいる限り続いていくだろうね。


「じゃあ…そちらの分の部屋もとってやるよ。冒険者ギルドの酒場で晩めし食うから、観光が済んだら合流して来い。それでいいか?」


「わかりました、ありがとうございます。ではあとで。」


ルーツたちが去っていくのを見て、アイツと二人きりになった。


「また逃げるの企んでるかよ?」


「逃げません。ここに住みたいので、そっちが早く婿になれるよう策を立ててみます。」


「またプロポーズかよ。」と髪をくしゃくしゃしてくる。意味分からないけど、こうされるのは…想像したものよりなんかニヤニヤになりそう。


「ニヤニヤしてるな。」


え、まさか表情に出た?!

「してません。それより早くお風呂入りたいです。」


「ギルドはどうする?身分証明書、一応作っといた方が後のためだよな。」


そうだね、ここに住むことにしても、お金稼がなければならないからね。

クシェでお金は少し【貰った】から、暫くは足りると旅の中シエンたちに打診できたけど、

ほとんど引きこもるという人生になるためには、やはり仕事のあてがある方がいいかな。


「シエンたちの話からまとめると、やはり冒険者になったほうがいいかもしれません。商人ギルドや職人ギルドに入るための知識やスキル、ほとんどありませんし。」


「そうだな、今のところ行けそうなところはそこしなかい気がする。戦うのはなんとなく慣れてきたもんな。」


私のための行動なら、アイツの経験値がためやすいことになっている。

それは今までの戦闘でどういう効果が出てるのか、こっちは確かめる手段がほとんどない。

冒険者ギルドなら今の状態を調べてくれるかなと思う。


「じゃあ、行こうか。」とアイツが手を差し伸べてきた。


無反応してやったら、勝手に私の手を握ってきた。離そうとしても力が勝てないから、仕方なく握られたまま冒険者ギルドを探すことにした。



涼しくなっきた夜にでも、少しは暖かすぎた手と、

チラッと見たわくわくしてるような横顔と、

初めての異世界の商店街でため息をついた。

そろそろ二人目のイケメンを出そうと思ってます。

よろしくお願いします!

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