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家電少女‼︎1–1  作者: 黒咲 永哉
1/1

全ての始まりはあの日だった

1.プロローグ


「あー、蒸し暑ぃ」

買い物袋を手に下げ夏っぽいTシャツに身を包んだ一人の青年が夕暮れの街を歩いていた。

夕暮れとはいえ八月ともなるとかなりの炎天下だ。 黒く少し長めの髪に整った顔立ちそれでいて端正な美青年というよりも気さくな空気を漂わせる青年。 彼の名は神屋柊人(かみやしゅうと)、この街にあるとある高校に通うごく普通の一年生だ。

「でもまぁ、今は母さんいないし一人で自由に過ごせるからいいんだけどさ」

はっきり言って柊人は父親かなり長い間会っていないしあまり覚えていない。というのも、彼が小学生になるとほぼ同時にシンガポールへ単身赴任してしまったのだ。母親曰く外資系企業に勤めているらしいが具体的に何をしているのかは全く知らない。

ただ、柊人小学校の入学式の日まで出国の予定を遅らせたらしく、今でもしっかり送金してきてくれているそうなので家族想いの人なのは間違いない。

母親は何回か柊人をシンガポールへ連れて行こうとしたのだが塾や受験などでなかなか時間が作れない内に何年も過ぎてしまった。

当の母親はというとちょうど今シンガポールへ父親に会いに行っている。柊人もようやくこの夏休みで父親に会えると思っていたのだが結局夏風邪を引いて飛行機に乗れずじまいだ。

そんなわけで神屋家には現在柊人しかいない。

さすがに食事や家事のこともあるし寝たきりというわけにもいかずかなり体調がマシになってようやく買い出しに行ったのだ。

ちなみに割と料理は得意だ。

「母さん今頃何してんだろ。昨日のうちに着いたはずだけど。てゆうか自分で言うのもなんだけど独り言多いよなー俺って、母さん譲りかな。」

交差点を通り過ぎ角を1つ曲がると人通りが一気に途絶える。

周りはいかにも現代風の住宅街といった感じで洋風の一軒家が建ち並んでいる。店などがないため特にこの夜の始めの方は人通りが少ないのだ。

スマホを家に置いて来てしまったので正確な時間はわからないものの八月上旬でここまで暗くなっているのだから7時近いはずだが。

「お、綺麗な月のぼって来てるじゃん満月だな。綺麗に晴れてるからいつもよりも大きく感じるな。」

数日前に豪雨が降った後ずっと晴れの日が続いている。夏場に雨が降るとより蒸し暑くなってしまうのでその方が嬉しい。

街灯に灯りがつき始め何軒かの家からは光が漏れる。同時に夕飯であろう香りも漂ってくる。

食欲をそそられるが家に帰ったら柊人が自分でこれから作り始めないといけない。

そして二階建てのベージュ色の家の前で足を止める。レンガ造りの塀と花壇付きの小庭は母親の好みだ。

門を開き玄関との間にある小庭を横切る。もうすでに周りは真っ暗になっていて徐々に月が昇り始めている。玄関のドアの鍵を開けて我が家へと帰還する。

「ただいま〜、ってだれもいないんだっけそういえば。」ついついいつもの癖でただいまと言ってしまう。

しかしそこで何か得体の知れない違和感を感じた。

何かが足りない。明確に何がと問われると答えようがないが普段の生活から何かが欠けているような感覚になる。その不安感に思わず身震いし、急いで電気をつける。洗面所で手を洗ってすぐリビングへと急ぐが電気をつけてみてもそんな違和感となりそうなものはない。いつも通りの部屋がそこにあり、特に荒らされているとか言うわけでもない。

「気のせい、、、、、かな?」

返事などあるわけもなくリビングは静まり返ったままだ。

だがそこで気がついた、。部屋が「本当に」静まり返っている。

部屋だけではない、家全体がだ。

それは普通なのかと言われれば確かにそうなのかも知れない。ただ、柊人は家を出る前に洗濯物を洗濯機に入れて回したはずだ。明日が晴れの予報を見て明日干せるようにと思っていたから間違いない。それに冷蔵庫がたてるあの低くて断続的な音も聞こえて来ない。

改めて部屋を見回す。明らかに無かった。

なんでそれまで気づかなかったのか不思議だった。

と言うより頭が想定外の状況過ぎて認識できなかったのか。


家電が無くなっていた。


「えっ、いや、ちょ、えっ?」

エアコンが、テレビが、冷蔵庫が、扇風機が、炊飯器までもが、消えていた。しかもソファーや机はそのまま、家電のみが消えていた。

もしやと思い洗面所までダッシュで戻るとさっきは気づかなかったが洗濯機が消えていた。

N A N I K O R E⁉︎

「新手の泥棒?いやいやいや、確かに海外で自販機がそのまま盗まれるとか聞いたことあるけど、、、、

さすがにあの量をあの時間で全部運び出すなんて無理だろ⁉︎それに今俺は鍵開けて入って来たんだし、冷蔵庫とか運び出そうと思ったら絶対玄関からしか無理だよな。犯人はよく近所回ってる廃品回収のおっちゃんなのか⁉︎いや、家電マニアの宇宙人が家に侵入した?」

とりあえず警察を呼んだ方がいいのだろうか?とはいえなんと伝えるのか。

会話を想像する。

俺 もしもし、あの三丁目の神屋なんですけど家電が

家帰ったら家電が全部消えてて、、、

警 そういうのは家電屋さんに言ってください。

俺 不良品のクレームじゃねーよ!不良で消える家電

なんてあってたまるかよ!

警 この近くだったらハマダ電機とかドロバシカメラ

とかいいとかたくさんありますよ?

俺 聞いてないな⁉︎信じてくださいよ!家電が全部盗

まれたんですよ!

警 家電って?

俺 冷蔵庫、テレビ、エアコン、、、

警 廃品回収の方ですか?

俺 違いま

警 ガチャン ピー

みたいなことになって相手にされないに違いない。

それに、

「あれ⁉︎スマホも無くなってる⁉︎」

冷静に考えればこの時固定電話があったのだがこの時はまだ全ての家電が消えたと思っていたのだ。それにその白いスマホは一年半前に買ったものでなかなかのお気に入りだったのだ。

しかしスマホが無くなったとなると本格的に泥棒か。

個人情報も沢山入ってるし、非常に困るのだが。

というか一体どうなっているのだ。いきなり家電が消え去るなんて。

ただ実は柊人はある理由で非常にイラついていた。

それは

「エアコンなしでこの真夏過ごせなんて無理に決まってんだろ!!!!!」

なんだかんだで現代っ子である。柊人としてはもう最近見なくなったテレビとかはいいからエアコンを返して欲しい。命とお金の次にエアコンは大事だ。

「エアコンーーーー、Airconditioner!」

さっきからもうすでに暑い。柊人の脳も限界を迎えんとしていた。このままいくとどこぞの犬と少年みたいに天使に連れられて天国に送られるかも知れない。

「涼しいならそれもいいかも知れない、、、、、」

その時、、、

ガタンという大きな音でふと我に帰る。そして背筋が凍る。そして気づいた家電は消えてるけどもう外に運び出したとは言い切れない。もし家電を盗もうとして一箇所にまとめた所で窓から柊人の帰宅を見て慌ててどこかに隠れたなら、今の音は犯人のたてた音になる。

耳を澄ませるとさっきと違ってほんの少しガタガタという音が聞こえて来た。しかしその音は上からだ。まさか家電を二階に運んだのだろうか。かなり力がいるだろうから一人ではなく二、三人はいるはずだが、、

普段の柊人ならこっそり家から出てお隣に知らせたりダメ元で近所の交番に助けを求めていたかも知れないが

「エアコン、エアコンだけは返してもらう。相手が三人居ようが千人居ようが関係ねぇ。エアコンだけは返してもらう。」

フライパンを手に取り、ゆっくり、ゆっくりと階段を登っていく。二階にあるのは自分の部屋と物置、母親の寝室だ。ガタガタという音は母親の寝室から聞こえてくる。母親の寝室にまで勝手に入ったのか。そんなことよりエアコンだが。

フライパンを両手で握りしめ、さながら突入部隊のように下に向けて構え、ドアに張り付く。なんだかんだでこの時の姿を写真に撮られていたら一生の黒歴史になっていただろう。

そしてフライパンを振り上げドアを一気に開け放った。

バン

「エアコン返せ!さもないとフライパンをお見舞いしてやる!」

「「「「キャーーーーーー⁉︎」」」」

「えーーーーーーー⁉︎」

そんなに驚かれてもこっちが困る。というか、、、

「女の、、、、子?」

そこにいたのは少女だった。いや、お互いに服装も様々で容姿も異なる少女達だった。

その中の一人、白い髪を背中の後ろまで伸ばしている見た目中学生くらいの少女は戸惑いながらも口を開き唖然とする柊人にこう告げた。

「あ、えっと、その、、おかえりなさい、、、柊人さん、、」

「え」

ここからだった。

俺の人生を180°変えたその日を、きっと一生忘れないだろう。































最後まで読んでいただきありがとうございました。初作なので読みにくく拙い文章となってしまいましたが、今後文章の書き方は練習を重ねてまいります。近々1–2も投稿しますのでよろしくお願い致します。

作品については今作ではほとんど触れられなかったものの、家電擬人化ストーリーです。

次回から本格的な擬人化と少しずつ異能バトル(?)もいれていくのでよければ見守ってください。私の作品に少しでも興味を持っていただいてありがとうございました。

H29.4.8 黒咲 永哉

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