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光刃  作者: 〜優〜
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第七刃 閉じゆく道

「おはよう。レン君。」


目を開くと目の前にレイラの顔があった。


「わっ…お、おはよう。」


「遅いぞ。」


ヨウが壁に寄りかかってた。


「悪い。夢をみててな。」


「どんな夢だったの?」


「秘密だ。」


ー誰かが俺を呼んでいた。深い深い暗闇から。何度も何度も。誰だったんだろう…


「人に言えないような夢を見るなんて。レイラの体はレンには刺激が強すぎたな。」


「そんなんじゃねーよ!」


三人は出発の準備をした。今日中には森を出たい。


「よし。行くか。」


「ヨウ。方角分かってんのか?無駄に歩き回って消耗したら、鬼に間違いなくやられるぞ。」


「大丈夫。夜のうちに確認しといたから。方角も現在地もバッチリだぜ。」


自慢げに言った。


「行きましょうか。」




三人は洞窟を出た。森の東から入って来て西ぬける予定が、南の方に来ていたのだ。三人は北西の方向に歩き出した。


やはり暗い。夜も朝もあまり変わらないようだ。進んでも進んでも同じ景色が続いた。


「…おかしい。」


レンが口を開いた。


「ええ、そうね。」


「何が?」


「鬼がいない。それに静かすぎる。」


あれだけ鬼を斬ったんだ。来るであろう場所は見張っておくはず。それが気配すらしない。


「そういやそうだな。」


嫌な感じがする。洞窟を出た時から少し違和感は感じていたのだが。


「ヨウ、ちょっと飛んで周りを見てみてくれないか?」


「ああ。」


そう言ってヨウは風の翼をつくり、飛んでいった。


「嘘だろ………?」


空が真っ赤だ。さっきまでは木々で見えなかったが血のような赤色だ。


「あれ?」


翼が空気に溶けるように消えた。


「あああああああ!」


「危ない!」


レイラがとっさに水のクッションを作った。


《バッシャーン!!》


水のクッションもヨウの重さに耐えきれず、落ちた瞬間に破裂した。


「いってー。まだ怒ってんのかよ。」


「違うわ。なんか力がでなくて…」


空が赤い…………

力がでない……………

そうか!


「ヤバい!戻るぞ。」


レンが走り出した。


「やられた。時空間魔術で洞窟一帯ごと、異界にとばされてたんだ。」


「戻れるのか?」


「あの洞窟のあたりに魔法陣があるはずだ。もしくは元の世界と繋がる空間の歪みが、前者の場合、反対魔法を使えばよし。後者の場合、歪みを魔力で広げるしかない。」


「ならレイラなら魔法陣とか得意だし、なんとかなるな。」


「そうも簡単にいかない。この異界を作ったやつは魔力がだんだん失われていく魔術を付加した。歪みを広げる程の魔力が残っているか、それ以前に歪みはだんだん消えていくから、それに間に合うか。」


「まずいわね」


「異界から出れたとして、こんなものを創り出せるやつを減った魔力で倒せるか…………?」


「もういい!ひとまず脱出だけを考えよう。急ごう!」







「見つけた!!」


レイラが洞窟の外側に空間の歪みを見つけた。だいぶ小さい。直径三十センチメートル位の円の大きさだ。


「これを洞窟一帯を包むくらいに広げなくてはならない。魔力を用いた攻撃で衝撃を与えると、なかに吸い込まれ、元の世界に出てこられる。しかし小さいとこの異界と僕らの世界の狭間に取り残されることになる。」


「いいぜ。やってやろうじゃん。どうせそうするしか戻る方法はないんだろ?」


ヨウが剣を抜いた。


「私の力みせてあげる。」


レイラも剣をぬく。

レイラの剣は名を[優雫ゆうな]という。

龍の涙から出来たといわれる、水分で形成されている剣だ。刃は青みがかっており美しく、そして鋭い。水分から成っているとはいえ、相当な強度をもっている。


「風刃…」


「優雫…」


「《解》!!」


二人が同時に叫んだ。


「風刃 ー双龍ー 」


「優雫 ー零ー 」


風刃は二本に、そして優雫は丸い水の玉になった。見ていると中に吸い込まれそうになるような美しい玉だ。


「レイラの解放初めて見たがそんな形してんだな。」


「弱そうだなとか思ってるんでしょ!」


レイラは頬を膨らましてヨウを少し睨んだ。


「強いんだからね!」


「そんなこと言い合ってる暇ないぞ。時間が無い。」


二人を止めてレンが言った。


「正確な位置への同時斬撃。やるぞ。」


ヨウは、両足で地面をしっかりと踏みしめ、両腕をクロスさせた。


レイラは両腕を高くあげて伸ばしきり、両手を空に向けて広げた。その手の平に優雫をのせて。


レンは刀を鞘に戻し、柄から右手を離した。そして目を閉じる。左手は鞘をつかみ、腕は軽く曲げて柄の前に構える。




「いくぞ!」



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