第三刃 僕らと世界
ここは魔法が存在する世界。
この世界には火の国や水の国、土の国などがいくつもあり、各国にはそれぞれ他とは隔絶した超絶たる力を持つ、王族なるものがいた。
さらに、大きく古い国、例えば火の国には火竜という精霊がおり、その精霊が宿りし剣、国によって杖であったり、斧であったりするが、そのような武器を代々その国の王または女王が受け継いでいる。また世界には異能力者という者もいる。
例えば魔法を一切使える者がいない家系に魔法を使える者が生まれたり、またその逆であったり。また変わった文字通り変わった能力を持つ者。それら、つまり突然変異の者をさす。
水の国と風の国は友好関係にあり、ヨウやレイラはよく遊ぶことがあった。レンは物心つく前から、風の国にてヨウと同じように育てられた。
王族には体にその国特有の印があるが、レンの体にはどこにもそれがなかった。レンはおかしいなとは思っていたが、にもそれがなかった。レンはおかしいなとは思っていたが、誰に聞いても決して自分の過去を教えてくれようとはしなかった。
レンがはじめて使った魔法は雷の魔法であった。
その時風の国の王であるシュナイザが二度と使うなといい、レンの体に魔法をかけた。莫大な魔力を使った封印魔法であった。
しかしレンは一人で再び魔法を使ってみたら、なんの影響もなく普通に使うことができた。ヨウとレイラ以外の人の前では一度も使わなかった。バレたらどれほど怒られるかもわからない。
その者が使う魔法の特性は生まれで決まる。異能者といっても、一族と関係のある力を持つ。例外はない…はずだ。
もしかしたらと思い、雷の国があるのかと調べるため、古い文献を紐解いてみたのだが、何一つ関係する事柄すら見つからなかった。
唯一自分の過去に繋がる可能性も失い、自分の正体に悩んだ時もあった。
しかし今はヨウやレイラ二人と楽しく暮らしているので、そんなことは考えなくなっていた。無意識のうちに考えることを避けていた。