Blue rose━不可能のキス
「やっと見つけた…。」
「…誓。」
俺は星野に事情を聴いた後、月野が飛んでいった方向をひたすら走って追いかけた。
「「あのさ!」」
見事にハモってしまった…
月野の顔が若干赤い…
多分俺の顔も赤いだろう。
「誓からどうぞ。」
「ああ、あのささっきはごめん!」
俺は腰を直角に曲げて謝った。
「なんで誓があやまるの!あやまるのは私だよ。嘘ついててごめんなさい!!」
月野も腰を曲げて俺に謝った。
「私、友達が欲しかったの。誓を騙して笑ったことなんて一度もないの!」
「うん、わかってる。星野に聞いた。お母さんのこととか昔のこととか仕事のこととか…」
「…軽蔑した?」
「は?」
「母親がラリッちゃった感じの人で、その人の為に怪しい仕事してたりとか…」
「あのな!家族を悪く言うものじゃないし、どんな仕事でも一度引き受けたからには誇りをもて!…これはウチの母親の口癖」
月野はクスッとかわいらしく笑った。
「いいお母さんなんだね。そうだね、じゃあ…私のママは最高よ。天使に生まれた私たちをちゃんと育ててくれたし、少し弱い部分もあったけどたくさんの事を教えてくれたわ。」
そのあとも月野は母親との想い出を俺に笑顔で話してくれた。
「私ね、人間に生まれたかったの…」
「うん、聞いた。」
「魔術なんて使えなければいいのにって思う。」
「俺は魔術は使えたらいいのにって思うよ…」
月野はハッとした顔になった。
「ごめん。嫌味とかで言ったんじゃないから…」
「わかってるよ。俺に魔術を使うのは不可能だってわかってるから。」
「不可能…。ねえ、青いバラって知ってる?」
「数年前に開発された新種の薔薇だろ?」
「うん。青いバラの花言葉はね“不可能、あり得ない”」
「…」
「だったの。だけどね、開発されたことによって“奇跡、神の祝福”になったの。」
月野が俺に近づいてきたかと思うと急に唇に柔らかい感触が…
?
「あなたに神の祝福、奇跡が訪れますように…」
月野は俺から離れると、
「先戻ってるね」
と笑顔で言ってその場を去って行った。
唇に残った感触…
これは…
「キス?」
顔が火照ったのがわかった。
「キスなんて初めてだ…」
いろんなことがあって頭から離れていたが、
━魔術の試験は終わっていない…