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Colorless━双子の真実

「作戦は理解してる?」


俺たちの作戦は、まず人間の俺と月野つきので相手を油断させて樹理華が水晶を奪うというものだ。


星野ほしのは樹理華のそばで水晶を護っている。


「ああ、ばっちり。」


「じゃあ、行くよ。」


前方には、赤い髪の女子と黄色の髪の男子4人のグループがいる。



まずは、ガサッと音をたててっと。


「誰だ?」


黄色が気付いたみたいだ。


えっと、次は詠唱が始まった瞬間に出てと。


「我…」


今だ!俺と月野は目配せしてグループの前に出る。


「うわっ!なんだよ人間かよ。」


よし、詠唱が止まった。


「人間なのに魔術テスト受けてるんだね~。かわいそうだから魔術は使わないでいたあげるよ。だから、早く水晶渡しなさい。」


赤天使が俺たちに近づいてくる。


俺たちの仕事は誰が水晶を持っているのか聞きだすまでだ。


「なあ。」


「なによ?」


「女子がそんなカバン持って歩くのって大変じゃね?」


「大変に決まってるじゃない、だけどあたしが一番強いんだからしょうがないでしょ。いいから早く渡しなさいよ。」


俺は月野に目でサインを送った。


「樹理華ー!」


月野がそう叫んで1秒もたたないうちに樹理華と星野が出てきた。


「樹理華様!!?」


樹理華はニコッと笑うと風を操り赤天使のカバンを奪った。


「ごめんだけど貰うね。」


そういい、カバンから水晶だけを抜き取り彼女に返した。


ようやく事態に気付いた相手は一斉に詠唱を始めた。


「我、欲するは…」


「遅いよ。」


樹理華のその言葉通り、俺たちは樹理華の魔術でもうすでに宙に浮かんで別の場所に移動し始めていた。


開始から1時間もたたない間に水晶を奪われたあのチームはさぞやる気をなくしただろう…


俺たちはそれからも同じ手で数組から水晶を奪っていった。


休憩しようという事でたまたま見つけた平らなところで昼食にした。


「なんだかやけに涼しいわね、ここ。」


「ねぇ、ちーくん…。」


「あぁ、わかってる。」


わかってるさ、いくらなんでも忘れるわけがない。


━ここは


「ここは、あの泉だ…。」


樹理華の魔力が強大に上がったあの事件。


「はやくここから離れよう……」


「あぁ、早くしなくちゃな」


もっと早く気付くべきだったんだ。


山を見たとき、少なくともこの場所を見たときにでも気付いていれば…



「キャーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


響いた悲鳴。


あの時のことを思い出したのかと思った。


だが、明らかに違うことがある。


この悲鳴は━


「月野…?」


樹理華の悲鳴ではなく月野の悲鳴だった。


「な…んで?」


「月野!!大丈夫か!!?」


「ちーくん…アイツ!!!」


樹理華を捕まえていたのはアイツ━黒いものだった。


「誓、コール頼む。樹理華は教師の案内頼む!」


星野は嫌と言うほど落ち着いていた。


シスコンな星野の事だからもっとあせると思ったんだが…


「わかった!」


「あたしも!」


「オマエタチハアノトキノガキカ?」


ずっと黙っていた黒いものが話し始めた。


「早く!!」


星野が俺たちを焦らす。


「ワタシハミナトチガイ、オマエタチヨリニンゲンノホウガニクイ。」


黒いものは星野と月野を交互に見てそう言った。


そのあとは何が起こったのか一瞬わからなかった。


気がついたら俺と樹理華は黒いものに首を掴まれ持ち上げられていた。


「誓!樹理華!!」


樹理華に魔術を使ってもらおうとしたが樹理華の方を向くと気絶してしまっているようだった。


あれから、どんなに強くなっていてもトラウマになってしまっているのだろう。


「じゅり…か…!じゅ…りか!樹理華!!」


俺は必死に何度も樹理華を呼んだが、目を覚ます気配は全くない。


━あぁ、また俺は何もできないのか。


俺が「天使」じゃないから…


「天使」になりたかった。


皆を…親友を護れるまじゅつが欲しかった。


「…ほし…の、つ…きの…とにげろ!は…やく!!!」


コールボタンは俺が持っている。


だから教師がここに来ることはまずない。


とりあえず、二人は救わなくては!


高校になって初めてできた同族にんげんの友達を。


「星野、わたしもういいや。十分だよ。今まで付き合ってくれてありがとう。誓、樹理華。本当にごめんなさい。」


「俺も楽しかったよ。ありがとう。」


俺は月野と星野が何を言っているのかわからなかった。


━次の瞬間まで。


二人の黒い髪は色が徐々に消えていき無くなった…。


色が無くなったというのはおかしいかと思うかもしれないが、本当に無くなった。


「し…ろ?」


「カラーレス(無色)。私たちは悪魔を討つ者。透明天使オリジナル。」


本当に俺には何を言っているのかわからなかった。


「あく…ま?カラーレス…?」


パンッ!


月野が手を叩くと両手から風と水が出てきた。


「私の友達を離して!!!」


水は風により形作られひも状になり俺と樹理華を黒いものから引き離した。


パンッ!


星野が手を叩くと両手から炎と雷が出てきて剣をかたどった。


月野も全く同じものをだして剣を構えた。


「オマエタチヤハリホンモノノ…」


「「はぁぁぁぁっ!!」」


二人は一斉に黒いものにきりかかった。


「ギャーーー」


黒いものは断末魔の叫びをあげて消えた━


「大丈夫?」


透明の髪をした美少女が俺に手を差し出す。


「お前は一体なんなんだ…?」


月野は困った顔をしながら言った。


「あたしたちは、透明天使。遺伝子を改造しないで生まれた本物の天使よ。」


人間どうぞく」だと思っていた…


お互いを理解できると思っていた…


「あはは、あはははは。お前たちも俺をバカにしてたのか。魔術を使えない俺を。さぞ楽しかっただろうな!騙される俺を笑いながら見る気分は!!」


俺は月野の手をパシンと払って自分の手で身体を起こした。


月野はおそらくひどく傷ついた顔をしているだろう…


だが、俺は許せなかった。


俺が「天使」に憧れる姿をみて笑っていたのかと思うとはらわたが煮えくりかえる気分だった。


「私は…私は天使になんてなりたくなかった!」


そういうと月野は飛んでいってしまった━自らの背中から生えた翼で…


「誓。」


「なんだよ星野。」


「誓は天使になりたかったって言ってるけど…人間の方がいいって思うやつだって、中にはいるんだぜ。」


星野は樹理華を横抱きにしながら言った。


「俺たち透明天使の仕事は、あの黒い奴「悪魔」を討つことだ…。」

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