Angels and humans─異なるもの
あの日、母さんが俺たちに過去を話してくれてから3日がたった。
連休だからあれからみんなには会っていない。
それぞれ思うこともあるだろうから、こっちからは連絡を取らないようにしている。
きっとみんな同じことを考えて、自分から連絡を取らないようにしているんだろうな。
親は仕事だし、風音さんは水脈の家に行っているしものすごくヒマだ。
TVを見ようと思い電源を入れる。
赤い髪をしたアナウンサー、赤天使だろう。
「緊急連絡、緊急連絡。日本中に異様な生物が多数、出没しています。現場の様子です。現場の山本さん。」
異様な生物?
「こちら現場です。見てください、黒いものがたくさん動いています。動いている以上生物と考えるのが…」
黒いもの…!!!!
あいつは…
昔、俺と樹理華を襲ってきたあいつだ!!!!!
「安心してください。この黒い生物は天使に害をなすものではないようです。現に私がそばを通っても何も…え…
ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
リポーターが…たべられた…?飲み込まれた?
「山本さん!」
カメラがぶれる。
そして中継が終わった。
「中継を終了させて、皆様におつたえします。町中に現れた黒い生物はわれわれ、天使に害をなすものです。ただいま聖天使へと問題が…」
俺はTVを消した。
一体どうなっているんだ…?
あいつらは、小学校の時のあいつの仲間だろう。
見た目的に。
でも天使を丸呑みに…
ブーブー。
携帯が震えた。
常にマナーモードにしている携帯。
サブディスプレイの表示は“樹理華”。
樹理華もあいつに気づいたのだろうか。
メールを開く。
「ちーくん。テレビ見ていますか?あいつの仲間らしきものがいっぱい現れたそうです。これから4大天使で議論をしてきます。ちーくんは危ないので家から出ないでください。 じゅり」
そういえば聖天使に問題がわたされたとかニュースでやってたな。
家にいろってことは家にいる限り安全ってことでいいんだよな?
とりあえず窓は閉めた方がいいかな、と思い俺は家中の窓を閉めてまわる。
連休中だからお手伝いさんは一人もいない。
広い家に一人っていうのもなんか新鮮だ。
とりあえずテレビで新しい情報がでるのを待っておこうか…。
そんなことを考え、俺は消したテレビの電源をつけようとリモコンにてを伸ばした。
「オマエハチカラガホシクハナイカ?」
後ろから声がした。
お前は力が欲しくはないか?
答えは最も簡単。
力は欲しい。
俺は魔術が使えない、から。
いけない、それよりも声の主は誰なのか…
それを探るのが現状、もっともいい策だろう。
「だれだ?」
俺は勇気を振り絞って後ろをむく。
─アイツだ。
そこには黒い物体があった。
双子の話では“悪魔”と呼ばれるもの。
「ニンゲン、オマエハチカラヲノゾムカ?」
「俺は力が欲しい…。」
「ノゾミヲカナエヨウ。オマエハアイツニエラバレタ…」
そのとき玄関から物音がした。
「誓!大丈夫!!?」
月野だ。
俺を心配して来てくれたのだろう。
「悪魔!!お前!誓になにしてる!!」
月野の髪の色が黒から白、透明になった。
「燃やしてやる!」
月野が手を合わせ、炎をだす。
「おい、月野!」
俺は月野の名前を呼んだが月野は振り向かない。
「剣!!!」
月野がそう叫ぶと炎は剣の形になって悪魔を貫いた。
「アツイ…アツイ…イタイ…。」
「おい!お前!あいつって誰だ!!!」
俺は悪魔に向かって叫んだ。
表情なんてないのに俺にはそいつが笑ったように見えた。
「ジキニワカル。」y
そう言うとそいつは消えた。
『ニュース速報です。町に大量発生した危険生物についてです。国は彼らを“悪魔”と名づけました。悪魔は天使反対派の人間によって創られたと国は見ています。よって、国中の人間に逮捕状がでました。人間は速やかに出頭してください。また、天使の皆さんは人間を見つけ次第、国への連絡をお願い致します。』