What's wrong with me?━最期の言霊
どこで何を間違えたんだろう?
あの時、無理やりでも麻理華の子供をおろさせとけばよかったのかな?
私は今、笑いながら止まっている麻理華と対面している。
どうして・・・?
「こんな若いのに…」
「ご病気で…」
「ご愁傷様です。」
違う。
麻理華は病んでなんかいない。
病んでいたら子供を無事に産めるはずがない。
一体どうして…
麻理華のお姉さんは枯れてしまっているのか涙を流していない。
「これ以上麻理華を苦しめないで。」
検死にかけられそうになったとき、樹理華を抱いてそう叫んでいたお姉さん。
麻理華にもそのうちいい男の人が絶対見つかると思う!
確信を持って言ったその言葉。
叶わなかったその願い。
私には…
麻理華を救うことはできないんだ…
私達は麻理華との別れを実感できなかった。
もう1ヶ月がたつ。
私のおなかもかなり大きくなって、いつ産まれてもいいぐらいだ。
本当なら幸せなんだろうな。
でも麻理華がいない。
こんなセカイいらない。
東がいて、夢野と宙がいて、風音と涼がいて、麻理華がいる。
それが少しでも壊れてしまう。
壊れてしまった。
「こんなセカイなんて…いらな」
『本当にこのセカイはいらないの?』
麻理華の声が聞こえる。
「麻理華…?」
『このセカイは絆にとって無意味なの?』
「だって麻理華がいないんだもん!!」
『どうして私はいないの?』
「どうしてって…」
『私はねずっと見てるの。
絆が子供を産んで、夢野と宙の子も無事に産まれて、風音と涼の子も産まれるの。
それでね、みんな樹理華と同い年なの。
私達みたいに支えあうの。
素敵でしょ?
素敵なセカイでしょ?
だからいらないなんて言っちゃだめだよ。
言霊─言葉には力があるんだから。
じゃあ、そろそろいくね。
そうだ、私のこと忘れないでほしいな。
それと─
私は─に殺された。』
「絆!!!」
東の声で目が覚めた。
「ここ、どこ?」
「病院だよ、子供が産まれるって。」
『絆が子供を産んで、夢野と宙の子も無事に産まれて、風音と涼の子も産まれるの。それでね、みんな樹理華と同い年なの。』
「ねえ東。」
「なに?」
「夢野も風音も妊娠してないわよね?」
「何いってるの?」
やっぱりか、私の記憶では夢野も風音も妊娠なんかしていない。
「夢野も風音も、もう出産予定日まですぐだよ?」
東は私をからかっているんだろうか…
違う…これは…
「お前と一緒に母親講座とかいってただろ?」
「そうだね。」
言霊か。
麻理華の最期の言葉を神が叶えたのだろうか。
じゃあ、私は、
「私は麻理華を救う。
どんな方法でもいい、麻理華を絶対に救う。」
東はそんな私を優しく見つめ、ただ言った。
「そうだな。」