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Mistakes of the past━綺麗な華の小さな悲鳴

「いいなぁ!あたしも結婚したい!!」


私とあずまそら夢野ゆめのの後を追うようにすぐに婚姻届を提出した。


私達の結婚は特に反対されることもなく、スムーズに行われた。


最近風音かざねりょうの委員会の招集が多いのと、私達が結婚をしたことに気を使い一人で行動したりすることが多くなった麻理華は憧れのまなざしで私を見てきた。


「結婚してるってどんな気分?セカイがピンクに染まってますかー?」


麻理華は茶化しながらも私達の結婚を一番祝福してくれていた。


「麻理華にもそのうちいい男の人が絶対見つかると思う!」


私は心の底からそう思っていた。


麻理華は年の割りに幼さが目立つけど、女の私から見ても魅力的だった。


だから彼女はきっと幸せになれる、そう思っていた。



『高等部3年、五月雨麻理華さみだれまりかさん。高等部3年、五月雨麻理華さみだれまりかさん。至急職員室までお越しください。』


校内放送で彼女の名前が呼ばれた。


「また課題の提出忘れたんじゃないの?」


私は笑いながらいった。


「…そうかもね。」


いつもなら笑いながら怒るか、本当に忘れているかなのに彼女は笑っていなかった。


彼女の目には恐怖が映っていた。


「麻理華?」


「ごめん、行ってくるね。」


麻理華はニコリともせず、そういって教室から出て行った。


そういえば最近麻理華が呼び出されることが多い気がする。


私がプロポーズされたあの日も確か麻理華は先生に呼び出されていた。




麻理華はその日を境に毎日のように呼び出されていた。


その呼び出しは卒業まで続いていた。



「今日で卒業だね。」


風音が言った。


「もうみんなと会ってから3年経ったんだね。」


私は夢野の言葉に内心驚いていた。


私のこの3年間は10年、いや20年のように長かった。


毎日が楽しくて仕方なかった日々。


それも今日でおしまい。


「それで、話があるんだけど。」


そう切り出してきたのはりょう


「あのさ、俺と風音結婚することにした。」


涼と風音は頬を紅くそめながら言った。


正直驚きはしなかった。


仲が一際よかったし、なによりお似合いだ。


「おめでとう。」


わたしは自然に浮かんだ笑顔でそういった。


これが私の高等部での最後。


周りのみんなが涙を浮かべている中、私達は笑顔で門をくぐった。


そして、大学部へと進学した…




大学部は自由だった。


ここは本当に桜泉なんだろうかと思うぐらい自由だった。


私達は7人で楽しく卒業までやっていける、そう思っていた。


楽しかった。


だから気づけなかったんだ。


耳を傾けなきゃ聞こえない悲鳴に─


『大学部1年、五月雨樹理華さん。大学部1年、五月雨樹理華さん。至急職員室までお越しください。』


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