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プロローグ
この世界には天使がいる。
天使なんて言っても頭上に輪が浮かんでいるわけではない。
もちろん、神の使いでもない。
ただ、人間には使えない力━魔術が使えるだけで「天使」と称える。
この世界には天使が溢れている。
母親のおなかの中にいるときに、両親が望めばその子供は「天使」になることができる。
科学の発展から得た賜物だろう。
「天使」と言っても、科学の力で魔術が使えるようになった「人間」だ。
「人間」には限度があったのだろう。
生まれてくる天使と呼ばれる人間は、魔術を一種類しか使えない。
炎、水、風、雷
のいずれかを操る魔術。
それを使えるだけで「天使」となる。
ちなみに、髪の色で能力が分かる仕組みになっている。
赤髪なら炎、青髪なら水、緑髪なら風、黄髪なら雷。
また、色が薄ければ薄いほど強い能力を持っている。
━これは、そんな世界で生きる「天使」と「人間」の話