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人間の香西朋華
「……君。…也君。鷹也君。起きて」
誰かに揺さぶられて、目を覚ました。でもそこは俺の部屋じゃなくって白地にパステルカラーの絵具をマーブル柄に塗ったような空間だった。そして、俺を起こしたのは。
「朋……華?」
優しく微笑みかけてる香西朋華だった。
「当たり。でも、ちょっと違うかな。わたしは君の知ってる香西朋華じゃない。わたしは人間だった頃の香西朋華です」
胸のあたりにやんわりと開いた手を乗せて香西朋華は話した。
「人間の……香西朋華?」
「うん。だから、幽霊。とでも考えてくれればいいかな?」
また香西朋華は笑った。あの時の……、廃墟と化した村で見せたあの笑顔のように暖かい笑顔だった。
「……」
「びっくりした? 全然あの子とは違うから」
「ちょ、ちょっとだけな」
「ふふ。その様子だと『ちょっと』って言うのは、嘘っぽいね。まぁいいか。さて、ちょっとお話に付き合ってもらいましょうか」
「お話?」
「うん。君にも関係あるから。ちゃんと聞いててね」
その言葉に、一瞬背筋がピシッとなった。