感情無き者の想い
「朋華」
「はい。どう致しましたか」
「いや、別に……大した用とかではないけどさぁ」
「……」
「何かあったのか? ずっと手の方見てボーっとしてさぁ」
「いえ。大したことではありません」
「いや、そう言われても気になるし……言えよ」
「……私は、人間にはなれないのだと。感じただけです」
「?」
「私は確かに、肉体こそは人間のそれです。香西朋華様の肉体を借りて居りますゆえ、当然です。ですが、私は思うのです」
「なにを」
「人間の技術には限界がある。我々ロボットが完璧な人間になることも不可能だと……」
「……」
分かっていた。ことだった。そんなこと、言われなくたって分かってた。でも、いざ改めて言われると、衝撃的と言う感情にも似ているが、まるで違うような奇妙な感情が芽生えた。
「最低でも、私は無理でした。だって、お母さん、泣いていましたもの……」
そう言って少し小さくなった香西朋華はその状態で話を続けた。
「私は香西朋華様の代わり。なのに、私は香西朋華様にはなれなかった。まるで別の……。香西朋華様を元に作った、ただの人形になっただけでした」
「そっ! れは……」
違う、て言いたかったけど、香西朋華の話に間違いが見つけられなくて何も言えず、ただ立ち尽くしていた。