第27話 取り調べされる夜白
帰還してから一週間以上、凄まじく忙しかった。
俺たちは校長室に事情を聴きに呼ばれ、三人で話をでっちあげた。
言い方は悪いが、俺の前世事情をみんなで何とか隠し通したのだ。
最下層に最初から落ちたことにしたのだが、結構疑われた。マヒルと朝日のステータスは一部裏付けに役立ったのだが、俺のレベル2ステータスにかなり困惑された。
ダンジョンボスを倒した映像では、とてもレベル2には見えないというのだ。
実際、ほとんどマヒルが倒していたし、俺のはほぼついでだったのだが。
ダンジョン災害対策庁(DCA:Dungeon Crisis Agency)が押しかけてきたし、プロハンターも来た。
驚いたことに紋章者適正審査委員会(EMAA:Emblem Master Aptitude Agency)もきた。こっちは入学式にきていた、ランクをはかる政府機関だ。ご丁寧に三回も計測されなおした。
とはいえ、俺はSSS級なのを隠してるから懸念は当たっているといえる。
「はぁ……面倒くさいな……」
『我が王もお疲れですな』
マヒルと朝日と一緒だったのは、最初だけ。今頃二人とも疲れてるんだろな。
ザガン、二人の様子見てきてくれ。
『承知』
一方、これは隙間時間に和成や楓から聞いた話だが、橘と火乃森は完全に終わったらしい。
配信も登録者は消え、ハンター科の誰もが話しかけなくなった。
顔をさらしていたせいで、登校にも白い目で見られるらしい。まあ、マヒルにしたことを思えば、全然足りないが。
俺が経験値ドレインしたせいで、レベル1からやり直しだしな。二人は大騒ぎして上に訴えたらしいが、あまり相手にされなかったらしい。俺としてはレベル10を超えたところを、経験値ドレインして痛い目に合わせたかったが。
ついでに、いじめの現場ではっきりしなかった藤川も減給処分になったらしい。何せ呆れたことに校長には事情を話してなかったそうだ。
『我が王、お二人とも元気な様子です』
ほんとか?
『我が王ほどは、しつこく質問されてないようです。マヒル殿は、家にと学校の行き来にタクシーを手配されているようで』
ああ、あの配信がいまだに大人気だからなぁ。
再生数は五百万回突破した。
俺は、投げ銭で配信ドローンのケースを買えたしな。
そんな俺が一番こたえたのは、妹のきらりに泣かれたことだ。
友人と担任の先生には、俺の名前を話していたらしい。
俺の配信画面が真っ黒になってから、事情を聞いて早退して家で母と画面を見守っていたという。
事故だったものの、無茶をしないで助けを呼んでと、泣いて言われた。
親は、覚醒紋がハンターだったことで少し覚悟は決めていたが、こんなに早く心配すると思わなかったと涙目で。
家族にも、さっさと打ち明けるべきだったかなぁ。
でも、気持ち悪がられたらいやだしな……。
『我が王、魔物氾濫の際に出た魔石はどうしますか?』
おお、律儀に拾っていたか。
俺はマヒルたちと居て、全然拾わなかったからな……。拾ったのはザガンが倒したものだけか。
朝日に強く勧められて、俺は俺とマヒルと朝日の三人だけのグループチャットに入っている。
そこで聞いてみることにした。
[魔物氾濫の際に、魔石を拾ってたんだが、分配は三分の一でいいか?]
[それは全部夜白くんのでいいと思うけど。あんな現場でよく拾ってたね?]
[僕も、さんざんレベル上げてもらったし、これ以上はいいかなー]
そうなのか?
まあ、俺というよりザガンの手柄だからな……。
ザガンがまた食べるか?
『恐れながら我が王、それがし、せっかくいただくのならA級ダンジョンのが……』
ああ、舌が肥えた感じか。まあ、一度お高い味を知ったら、そっちのがいいよな。
また今度、S級にでもこっそり潜るか。その時にご褒美に好きなだけ食べていいぞ。
『はっ! 楽しみにしております』
ザガンの忠誠心がまた上がった気がする。まあ、物欲も大事だよな。
それより……校長室付近に、かなり魔力が溜まっている。
俺はトイレに向かうと、分身の魔法で二つに分かれた。片方はこの後また、調書。意識の強いほうの俺は、存在虚偽魔法で透明化する。
よし、せっかくだから盗み聞きをしてやろう。
いつになったら、この取り調べみたいなのが終わるのかが知りたい。
ストレスで嵐刃颶風を放ちそうだ……!




