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第9話 初めてのゲームセンター
店の中は音で満ちていた。
彼女は入口で立ち止まる。
「すごい……」
視線が動く。
速い。
一周する。
情報を“走査”しているみたいに。
クレーンゲームの前で止まる。
田中がやる。
失敗。
笑い。
「やってみる?」
コインを渡す。
彼女はうなずく。
迷いがない。
レバーに触れる。
一度も試さない。
一発で動かす。
止める。
正確すぎる。
アームが下りる。
掴む。
――普通なら落ちる。
でも。
彼女の指が、ほんのわずかに動いた。
タイミングが早すぎる。
結果より先に、操作している。
そのまま、
持ち上がる。
落ちない。
「え?」
佐藤の声。
景品が落ちる。
彼女はぬいぐるみを見る。
「取れた」
少し笑う。
でも次の瞬間。
彼女の視線が、
景品ではなく、
“筐体の奥”を見ていた。
ガラスの向こう。
機械の内部。
まるで、
構造を理解しようとしているみたいに。
本日分、ここまで読んでいただきありがとうございます。




