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彼女 ―桜は光の粒のように― 〜同じ記憶を持つ彼女が、二人いる世界で〜  作者: 雷火
第1章 彼女は少しおかしい

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第13話 夜のLINE

家に帰ると、

部屋の中はいつも通り静かだった。


カバンを机の横に置いて、

ベッドに座る。


今日はよく歩いた気がする。


ゲームセンター。

ボーリング。

喫茶店。


そして、

駅までの帰り道。


思い出すと、

なんだか少し不思議な一日だった。


スマートフォンを机の上に置いたとき、


――ピロン。


小さな音が鳴った。


画面を見る。


LINEの通知だった。


開くと、

彼女の名前が表示されている。


『今日はありがとう』


短いメッセージだった。


僕は少し考えてから返信する。


『こちらこそ。楽しかった』


すぐに既読がついた。


そして、


『私も』


続けてメッセージが来る。


『ゲームセンター、初めてだった』


『ぬいぐるみ取れたの、ちょっと嬉しかった』


その文章を見て、

僕は少し笑った。


『上手かったよ』


そう送ると、


『本当?』


『ちょっと緊張してた』


ここまでは自然。


僕は少し迷ってから打つ。


『なあ』


少し間。


『今日のボーリングさ』


送信。


既読。


即返信。


『2投目と3投目のこと?』


指が止まる。


まだ、何も言ってない。


『……そう』


『軌道を少し変えただけだよ』


『角度と回転を揃えれば再現できる』


指が止まる。


『普通じゃないって話』


送る。


少し間。


既読はついたまま。


『普通って、なに?』


画面を見たまま、止まる。


『ごめん』


『楽しかったから、それでいいと思ってる』


その言葉は、


昼と同じなのに、


少し違って見えた。


僕はゆっくり打つ。


『……俺も楽しかった』


送信。


すぐに既読がつく。


『よかった』


そのあと、


少し間があって、


『おやすみ』


短いメッセージ。


僕も返す。


『おやすみ』


スマートフォンの画面が暗くなる。


部屋は静かだった。


今の


「普通って、なんだよ……」


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