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灰かぶりのレオン ー悪役令嬢に捧ぐー  作者: ルル・ルー


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7.散策


「今日は街に行こうと思う」


「お供いたします」


朝食後、アイデア探しのために街に行くことにした。


ちなみに、衛生面で不完全なこの世界で重宝するであろう除菌効果のある術式についての論文は完成済みで、あとは父が家にいる日に手渡すだけとなっている。

本の中だけでは考えも凝り固まりそうだったし、それに今は家にいたくないと心の中で呟きながら、身支度を整える。


「朝から髪を下ろされていますね」


「……こっちの方が落ち着くみたい、ついでにメガネでも買おうかな」


「かしこまりました」


俺のイメチェンの理由に踏み入ることはなくカミルは頷いた。




2人で歩いて屋敷を出る。

門を潜った瞬間、どこか重たかった心が軽くなったように感じる。


振り向くと8年間過ごした屋敷が見える。

見慣れた屋敷のはずなのに、なぜか初めてみる感覚がした。


「レオン様?」


「なんでもない、行こっか」



しばらく住宅街を歩くと比較的大きな商店街が見えてくる。

西区の中心である。

うちのはまあまあいい立地に居を構えているのだ。


まずは眼鏡屋に行って度なしのメガネを作ってもらう。

父さんのような大人っぽいメガネが良かったが、かけてみるとしっくりこなかったので、大きな丸いメガネにすることにした。

やはり血が繋がってないからかな似合わないのだろうか。

しゅんとした俺に見かねたカミルが似合ってるとお世辞を言ってくれたが、却下だった。

まぁこれほど大きなメガネなら顔まで隠すことができるし、ちょうどいい。


その後は雑貨屋に寄ったり、魔道具屋に寄ったり、購入したものを離れた場所にいる別の従者に渡し、家に持って帰ってもらうことにして、その足で図書館へ向かった。


中央図書館ほどではないが西図書館もまあまあの蔵書数である。

銀貨10枚払えば平民も入ることができるので、いろんな本が置いてあるのだろう。

恋愛小説だったり、料理のレシピだったり。

背表紙だけ眺めて魔術関係の場所に向かう。


「水魔法、水魔法は……。これか?」


パラパラと本をめくり、よさげだと思った本をカミルに預けては次の本をめくっていく。

5冊ほど預けて落ち着いて読める場所に向かう。


「なぜ水魔法を?」


「俺の適性魔法だからな」


「すでに発現をされているのですか?」


「まぁ、1ヶ月ぐらい前に魔術の本を読んでる時にちょっとな。秘密だぞ?」


「えぇ、もちろんですとも」


この世界、魔法を使える人間は10分の1ほど。

そのほとんどが貴族の家に集中しており、うちも母以外は全員魔法を使うことができる。

父とダン兄は火を適性としている。

クロードは再来年だな。


そんなところでも血のつながりを感じる。

俺だけ水だなんて、昨日まで全く気にならなかったというのに。


子供は魔力の操作が不十分であるため、事故を防ぐために14になるまで使ってはいけない決まりになっている。

一年ほど特訓をして学校に通い始めると言うのが定番だ。

まぁ使ったからと言って捕まることはないのだが、事故を起こす子供は毎年後をたたないし死亡することもたまにあるため、子供がいる家はこと魔術に関しては目を光らせている。


「綺麗だったから早く使いたいんだけどな」


「流石に、やめておいた方がいいかと」


「だよなー」


と言うことで町の図書館であらかじめどんな魔法なのか調べておこうと思ったのだ。


椅子に座りパラパラとめくりながら背後に立ったままのクロードに話しかける。


「クロードは魔法の適性はあるのか?」


「ええ、風と光を」


「すごい組み合わせだな。エリートかよ」


2属性使えるものは魔法使いの中でも50分の1ほどで、光属性持ちともなると国にも一握りしかいない。


「そう言えばクロードって何歳なんだ?」


「今年で28となりました」


「となると卒業は10年ぐらい前か。引っ張りだこだったんじゃないのか?」


今まで聞いたことのなかったカミルの過去。


今頃になって気になるなんて、今の俺は人恋しいのかもしれない。


「そうですね」


「で、結局うちに入ったのか?」


「いえ、最初は王室所属の近衛騎士に」


「は?本物のエリートか……」


「王城で色々ありまして、旦那様の元へ参りました」


「へー……」


色々の部分が気になるが、過去に起きた城のゴタゴタを知ったところで良いこともないかと話題を切り上げる。


「ってことは剣が使えるのか」


「ええ」


「なら剣についてはカミルに教えてもらおうかな」


そっちの方が多少無理も効きそうだ。


「今のバルト師範はいかがするおつもりで?」


「んー、暇を出そう。元々お試しのつもりだったし」


「かしこまりました」


その後は黙々と本を読み進め、日が暮れる前に家に帰ったのだった。


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