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灰かぶりのレオン ー悪役令嬢に捧ぐー  作者: ルル・ルー


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1.プロローグ

設定はゆるめです。

深く考えず、雰囲気重視で読んでいただけると嬉しいです。





視界が瞬き、パチパチと思考が弾ける音がする。



シャンデリアの輝かしい光を受けて、ブルーダイヤモンドの丸い瞳がキラキラと輝く。

母親譲りの柔らかいブロンドには、ドレスと合わせたピンクの髪飾りが留められていた。


初めて会うが、あの髪飾りが彼女のお気に入りであることを、俺は、ずっと前から知っている。

そう、知っているのだ。


彼女の名前はラフィリア。

ラフィリア・オールドラン。


俺の目の前で母親の手を握りながら、恥ずかしそうに俯いている彼女はまだ8歳。

俺の知っている姿は7年後の彼女である。

真っ赤なドレスに身を纏い、仰々しく扇を広げ、棘で心を守るようなきつい性格をした少女の面影はなく、人見知りで引っ込み思案な彼女はまだまだあどけない。


赤く染まるそのふくふくのほっぺたは、今しか見られないのだと本能で感じ、決して忘れないように目に焼き付ける。

15歳の彼女も魅力的だが、この頃の彼女も大変可愛らしく眼福である。


「ラフィリア、ご挨拶しなさい。話しておいたでしょう、お母様のお友達の息子さん、レオン君よ」


「……は、はじめまして。ラフィリアです」


おずおずと前に出てきてスカートを摘み、ちんまりとした礼をした。

淑女の礼とは程遠いが、それもまたいい。


「はじめまして、レオン・ベルティエです」


こちらもぺこりとお辞儀をする。

視線が合ったのでにっこりと笑って見せると、びっくりしたのか母親の後ろに隠れてしまった。

残念である。


「あらあら、ラフィリアは相変わらずね」


その柔らかい言葉に裏はなさそうで、足元に隠れている娘に慈愛の視線を向けていた。

家族との仲は良好のようだ。

それを知れただけでも、今日この場に来た甲斐がある。


その後は友達同士である母たちの会話が弾み、子供は互いにその場で待機する時間となった。

ラフィリアは人見知りのようだし、俺も、彼女と交友を深めるつもりはない。

したがって親の横でいい子にしているだけの置物と化す。


記憶が甦った余韻を感じながら、ぼーっと待っているとふと視線を感じた。

チラリとラフィリアを見ると、再び目が合ってしまった。


わぁ、ずっとこっち見てたの?


嬉しい事実ににっこりと笑い小首を傾げると、顔を真っ赤にて、今度は離れた場所にいる父親の元へ走っていってしまった。

その小さな後ろ姿を感慨深く眺める。


「あら?ふふふ、ごめんなさいね。レオン君の綺麗なお顔に恥ずかしくなってしまったのかしら」


「であれば光栄ですね」


年相応の元気な姿に頬が緩む。

7年後には他人に弱みを見せまいと何重にも壁を作って、必死に背伸びして大人びた顔をするようになるのだから、微笑ましく思える。


「随分と賢そうな子じゃない?」


「ふふふ、そうでしょう?」


「ぜひラフィリアと仲良くしてほしいところなのだけれど……」


頬に手を添え少し気まずそうな顔で微笑むラフィリアの母に、頭を下げて引き下がる。


分かっている。

彼女は10歳の誕生日で、次期王太子の婚約者に選定される。

発表は2年後だが、水面下で話は進んでいるのだろう。

婚約者のいない俺が近くにいては都合が悪いというものだ。


「いえ、ご挨拶させて頂けただけでも光栄でした。では私はこれで失礼します。母さん、先に馬車で待ってます」


「分かったわ。お疲れさま」


ねぎらいの言葉をかけてくる母に、ひらひらと手を振り会場を後にした。



更新はしばらく安定して続けられる予定です。

ちょっと重めの話もありますが、ゆっくりお付き合いいただければ嬉しいです。

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