繰り返しの戦いの合間
「流石にモンジザールの戦いのように
こちらが完膚なき状態で圧勝とはいかなかったか」
「モンジザールの戦いでは兵団の9割方を討ち果たしたけども…壊滅なダメージだったはずなのに立てした
流石はサラーフ・アッデーン、イスラム、神の贈り物だったか、名の由来
歴戦の勇士のサラディンか」
「陛下、ボードワン4世陛下」
摂政であり、穏健派のトリポリ伯レーモン三世
病の中でも、若きボードワン4世は次々と案件の書類に陳情に対応しながら、朗らかな声で答える。
「6月のマルジュ・アユーンの戦いで敗れたね
他にも小競り合いでは…」
「本来、国を思えば…私の姉妹でなく、血縁でもある優秀な貴方に王になってもらう事も…我が摂政、トリポリ伯」
「陛下…そのような、少しお休み下さいませ」
「うん、そうだね、シオン」
「はい、陛下…」陰に控えていた吟遊詩人の姿のシオンが姿を現す
「後で、リュートの演奏に薬湯を」
「はい、陛下…ご所望だったアラビアの本に
フランス本国からの本が入りましたよ」
「アラビアの本は近隣の商人から
フランスの本は王家の本家であるアンジュー(ガティネ)船で到着したもの」
「うん、とても、愉しみだよシオン」
この時は英明な君主でなく、ひと時の、束の間の10代半ばの少年の声
「素晴らしい、私も読み終えたら、是非」
「トリポリ伯様の分もありますよ、トリポリ伯様」
シオンが微笑する。
※仏のアンジュー家は後のリチャード獅子心王にも繋がります、




