新アプリ
「このアプリ。想像したものを直接ディスプレイに映し出せるんだよ」
彼女が自慢げに言った。どうやら流行のスマートフォンを買ったらしい。これで二台目だ。
「すごいな、最近はそんな機能まであるんだ」
ケータイなんて、話すのとメールにしか使わない俺にはそこまで機能をつける意味がわからない。機能は増えているのに、そのボディはスリムになるとはこれいかに?
ここまでくると何でもアリだ。ケータイでテレビを見られるようになったころが懐かしい。
懐かしい?
「うん。すごいでしょ。最近は何でもアリだよ。だからこの機能で想像したの」
目の前には満面の笑みを広げる彼女がいた。
「私の理想の人を」
そういうと、ディスプレイ越しの俺に彼女は軽くキスをした。
いきなりのことに、思わずのけぞってしまった。
「あは。そんなところも大好き。これからもよろしくね」