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8話 ライザ博士

「大丈夫かキナコ?」


とウルトが心配してキナコに声をかける。


「うん。大丈夫。ちょっとぼ~っとしていただけ」


キナコは軽く微笑みながら答えるが、彼女の心の中では様々な思いが交錯していた。さっきまでのアイとのやり取りの事を考えていたからだ。


「この森を進んだところに私の家があるよ」


頭痛を治すためにウルトを私の家に連れて行ってライザに見てもらおうとしたけどこれは思わぬ情報が手に入った。

私がすぐにアイからのデータをすぐにウルトに送らなかったのは、アイの話を全てを信じたわけでも、信用したわけでもなかったからだ。


その森はかなり深く道というにはあまりにも歩きにくかった。整備もされておらず、草木が生い茂っていて、道と呼べるものがあるのかすら、分からないほどだった。


キナコはウルトに手を貸しつつ慎重にその道を歩いている。足元が不安定で、草の隙間に潜む根っこに足を取られそうになる。


「それにしてもなんでこんな森の中に住んでいるんだ?」


キナコは少し考えた後に、


「実は私はこの村の生まれじゃないんだ。というかあんまり昔の記憶がないの。そんな時にウルトが私を助けてくれた。あの時の私は小さかったから覚えてないかもしれないけど、私はウルトに救われたんだよ」


キナコの告白に、ウルトは一瞬立ち止まった。そして少し戸惑ったように言葉を続ける。

「もしかして、あの時の…?すごく変わっていて、今まで気づかなかった」


ウルトはふと立ち止まり、キナコをじっと見つめた。彼女の顔には昔の面影があり、確かに歳月が流れたはずなのに、その姿はあまり変わっていない。むしろ、昔見たときの印象そのままだった。


「あれ?よく考えたら、見た目はそんなに変わっていない?というか変わっていない?」


ウルトは少し首をかしげながら言った。


「その辺りのことや今後の説明は、私の家にいるライザという博士に聞いてもらうつもりだよ」


キナコが話を終えると、二人の前に古びた家の建物が見えてきた。周囲の木々が生い茂り、森の中にひっそりと佇んでいるその家は、少し不思議な雰囲気を持っていて、周りの空気がひんやりとしているのを感じる。


二人が家の前に立ち、キナコが家のドアを開けると、中から足音が聞こえ、現れたのは、白い実験服を着た年齢不詳の男、ライザ博士だった。ライザ博士の目は鋭く、知識と経験に裏打ちされた静かな威厳が感じられる、


「おや、キナコ、この方、は?」


ライザ博士はウルトを見て、少し眉をひそめながらも、独特な話し方で言った。


「ウルト。昔、私を助けてくれた人で、今大変な状況だから見てほしい」


キナコは落ち着いて紹介した。

ライザ博士は少しだけウルトを見つめた後、微かに頷きながら


「そう、か。君がぁ、ウルト君だね!話はキナコからたびたびぃ、聞いているよ!」


ライザ博士はウルトの周りぐるぐると歩き観察しながら話していた。


「ちょっと。今その話はやめてよ」


キナコは顔を赤くしながら、ライザ博士に軽く制止のジェスチャーをした。


ライザ博士はキナコの反応を楽しんでいる様子で、にやりと笑いながら、


「はは、わかったよ。だが、君がそんなに真剣に、言うとは思わな、かったな!」


と軽く肩をすくめた。


「本題」とキナコが切り出し話を始めた。


「ここに来る途中アイという名の女にウルトを通して接触されたの」


ライザ博士は驚きながらも、すぐに理解した様子で手を叩き、声を上げた。


「ああぁぁ!!アイ君だね!あぁなるほどなるほど!状況が見えてきたよ!ウルト君、私もぉ、君に会いたかったんだ!」


「ど、どうも」

ウルトはライザ博士のテンションについていけず、少し戸惑いながら答えた。ライザ博士はその反応を気にすることなく、さらに興奮気味に話し続けた。


「いやいや、いやいやいやぁ、いつか来るだろうとは!、思っていたけど。まさか、、、、こんなに早いとは!!」


ウルトはその勢いに圧倒されつつ、キナコが少し呆れつつ、「博士、ウルトがびっくりしてるから、ちょっと落ち着いて」と制止した。


「あ、すみません、つい興奮しちゃって。つい、ね、ウルト君に私はぁ、とても会いたかったからさ。さ、話を戻そう」


急に冷静になりライザ博士は話を続ける。


「まずはアイ君についてだね。彼女は私が今のウルト君の中に隠したのさ!アイ君がキナコに接触、したということはぁ相当なイレギュラーが、起きていたのかもしれないね!」


キナコはアイと接触した時に話した内容をライザ博士に伝えた。


「なるほど、なるほどなるほどぉ?まずはあれだね。キナコ、君は!!アイ君に誤った方がいいね!。まぁそれはさておき、まずはそのデータをウルト君に送ってあげたほうがいいね!彼今話何もついてこれてないよ?」


「う、うん…全然ついていけてないんだけど…」


と苦笑いした。


キナコはすぐにウルトに向き直り、顔を赤らめながら、「ごめん!」と素直に謝った。


「少し待って。今送るね」


そういってウルトの手に触れようとした瞬間、ライザ博士がそれを止める。


「データの送り先については、聞いたのかぃ?」

「普通に送るだけでしょ?」


とキナコは疑問そうにライザ博士に尋ねる。


ライザ博士は大きなため息をつき、


「アイ君は大事なところでえ抜けているのか、それともキナコとの接触に問題があって伝えきれなかったのか。まぁどちらも彼女の失態、だね!」


読んでいただきありがとうございます。

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