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5話 記憶の覚醒方法

「やぁ。意外と早かったね」

「またここか……」


どうやらこちらの世界に来ると現実の世界であったことも以前にアイと話したことを両方覚えているらしい。


アイはこの前と同じガーデンテーブルとチェアのセットを出して腰掛ける。


アイは大きなため息をつきながら、話を切り出す。


「いいニュースと悪いニュースがあるんだけどどっちから聞きたい?」

「最初のため息の感じを見るに悪いニュースの割合が大きいような気がするが一応いいニュースから聞こう」

「これは希望的観測だがあのキナコという女が、これから僕たちがしようとしている計画に賛同して協力してくれるかもしれない」


世界を支配している何かと戦おうとしているのにキナコを巻き込んでも大丈夫なのか?

とウルトが考えていると、


「まさかキナコをこれから始まることに巻き込んで大丈夫なのか?なんて甘いことを考えているのかい?」


「それは」


口をつぐみながらも、ウルトはアイの問いに一瞬黙り込む。


「まぁ落ち着け。僕がそれを言うに値する理由があるんだ。僕は君の目を通して、そっち側の世界も覗いていたんだよ。彼女はこの世界の核心に迫っているにも関わらず、体に異常が起きていない点だ。君は頭痛という形で異常が出ている。なぜだと思う?」

「それは、夢の事を思いだそうとして頭痛が起きているんじゃないのか?現実で教会が信用できないって考えをしているだけで、夢の内容を思い出そうとしているわけではないから体に異常が出てないだけの話じゃないのか?」


ウルトは自分の考えを、推測を交えて話した。


「まぁその推測と考えはおおむね間違っていない。が、それが正しいとすれば、どうしてバグなんて生まれるんだ?」

「確かに……」

「要するに彼女キナコにはバグであることをバグと認識されない何らかの力があると考えられる。教会に不信感を抱ける彼女にとっては違和感だらけの世界だろうね」


アイが言っていることは、確かに正しいが、


「それはわかったがキナコがこの話しに納得してくれたら、だ」

「わかった。それで構わないよ」

「納得しない場合、どうするつもりだ?」


ウルトは真剣な表情でアイに問いかけた。


アイはしばらく黙って考えてから、冷静に答えた。


「それについても考えておく必要がある。正直、彼女の存在は貴重だ。強引にでも協力を得る方法は考えないといけないかもしれない。それでも拒まれた場合はあきらめるよ」


「とはいえまずは一度キナコに会って話してみるべきだな」

「その通り。一度会って、彼女がどんな状態かを見極めることが大事だ。理解を得られるように努めよう」


大きなため息をつき、アイは話を続けた


「まぁいいニュースというのは今はなした通りキナコが協力してくれたらとても心強いということだ。二つ目の悪いニュースだ。正直こっちが大問題過ぎてさすがの私でも頭を抱えるよ。君も薄々感じているかもしれないけれど、記憶の覚醒方法についてだ」


ウルトはアイの言葉をじっと聞きながら、少しずつその意味が頭に浮かび始めた。キナコの協力が得られれば強力な助けになるというのはなんとなくわかったが、アイが続けた話にはさらに重い問題があるようだった。


「頭痛のことか」

「そう。前に夢であったときは、記憶の覚醒には方法は二つあって時間はたっぷりあるといったが、そうもいっていられなくなった。頭痛がひどくなるにつれて君はバグとして処理される可能性が高くなるという事だ。今はまだだましだまし何とかなるかもしれないがこれ以上ひどくなったらそれも怪しいことだ。なにが言いたいかというと早急に記憶の覚醒についてどちらの方法か決めなくてはならないことだ。頭痛という形で現実に影響が出るのは正直予想外だったよ」


「じゃあ、現実で感じる頭痛は、記憶の覚醒が進行している証拠ってことか?」


ウルトは口元を引き締めて言った。


「そうだ。君の頭痛がひどくなるほど、記憶の覚醒が進行していくと同時に、バグとして処理される危険も増していく。今はまだ我慢できる程度だが、これが続けば、いずれ取り返しのつかないことになるかもしれない」


「こうなった以上少しずつ記憶を開放していくという方法はもう使えなくなったといえる。あんだけ君に選択を迫ってたのにおかしな話だね。そこで第三の選択肢だ」

「第三の選択肢?」


ウルトが疑問そうにアイに尋ねる。


「そうだ。正直今思いついたんだが、前に話した二つよりかなり安全で確実な方法と言える。が、記憶を起こすという点では確実だがその方法に問題がある。というか君次第だ。方法はキナコを通して記憶を覚醒させるという事だ。キナコは不信感などの影響を受けないのでこの記憶を送っても問題ないと考えられる。キナコとの接触が30秒以上あれば僕が何とかしてこの記憶コピーしてキナコに送り込める。そこで僕がキナコに協力をしてもらうように説得を試みる。それが成功するにしろ失敗するにしろキナコと接触が出来れば次はキナコから君へデータを送ることが出来る」


確認したいことはいろいろあるが、まずは、


「それは合言葉を使っての記憶の覚醒とどのように違うんだ?」

「確かに、同じように見えるかもしれないね。でも、その中身が違う。あまり詳しく話しても難しいかもしれないから簡単に言うと、保存先を変えるという事だ。これで頭痛もなくその記憶も使えて問題解決という事だ」


「そして問題というのはここでの記憶をなくした君がキナコに30秒の接触ができるかが問題だ。

「確かに……」


そういったとたんウルトの意識が覚醒しこの世界から切り離された。


読んでいただきありがとうございます。

初日という事で連投でここまで投稿しました。

書き溜めがあるので毎日投稿で頑張っていきたいと思います。

評価、ブクマ、感想等つけていただけるととてもうれしいです。


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