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04. お呼び出し



 生徒会に呼ばれ、相川に引っ張られながら目的地へと向かった。


 「失礼します、武藤蘭香です」


 生徒会室と書かれた部屋の扉を開けると既に生徒会委員である人達が座って待機していた。

 

 皆、こっちを見てるよ。視線が痛い。


 「呼び出してすまないね、相川君有り難う、君は戻って良いから」


 男子生徒が相川に教室に戻る様に促したが、相川はこれを拒否した。


 「いいえ、私も傍にいて要件を、お聞きします。私は彼女の友人ですから」


 「・・・・・・まぁ、良いだろう」


 一人の男子生徒が話を始めると周りの他の人達は静かに聞いていた。


 「武藤蘭香さん、今日、呼び出したのは約三ヶ月の間で君がおこした校内での暴力事件についてだ」


 ぶっちゃけ、だろうなぁ~とは思っていたけど、わざわざ生徒会が呼び出す事か?そう言うのは教師の役目なんじゃないの?


 「暴力・・・・・・ねぇ、それで貴方は誰です?」


 「ちょ、ちょっと武藤さん!」


 「おい、なんだその態度は、会長が話をしているのに!」


 座っていた別の男子生徒が立ち上がり抗議し始めた。


 「フン、急に呼び出しておいて、挨拶や自己紹介も無しで本題に入るのが生徒会のやり方なんですか? 貴方達は親から教わらなかったんですか、人と話す時は挨拶しましょうって?」


 ちょっと嫌みったらしく語気を強めて言ってやった。面識も無い相手には失礼ですよって意味を込めて。伝われば良いんだけど・・・・・・


 「ちょ、ちょっと武藤さん!」


 「何だと!!」


 座って聞いていた他の生徒会の人達も立ち上がった。

 しかし、それを止めたのは会長と呼ばれた男子生徒だった。


 「止めないか皆!」


 「し、しかし会長・・・・・・」


 会長と呼ばれた男子生徒は他の生徒達を(なだ)め席に着くよう促した。


 「良いんだ、呼び出しておいて挨拶をせずに話しを進めようとしたのは私だ。 彼女の言う通り礼儀がなっていなかった」


 会長は椅子から立ち頭を下げて謝罪した。

 「すまなかった。改めて自己紹介をする、私は生徒会会長の東公彦だ」


 会長に続きほかの委員長達も自己紹介を行った。

 顔にはまだ不服そうな感情が出ているが、ソコをつついたら(こじ)れると思ったから止めにした。


 「話を続けて良いかな?」


 「どうぞ」


 コホン、と一つ咳払いをして東会長は話を始めた。


 「先程もいった通り、三ヶ月の間に校内における多くの暴力事件を君は起こしている。 この件に関して君はどう思っているのか意見を聞きたい」


 「どう、とは?」


 「君が関わって起こした事件について当事者の意見が聞きたいんだ」

 

 意見・・・・・・ねぇ~。

 私が口を開くより先に相川が発言した。


 「彼女は何も悪くありません!!」


 「!?」


 ちょ、ちょっと相川、何を言い出す!


 「確かに彼女は問題をおこし、校内を騒がせましたが彼女が全て悪い訳ではありません!」


 「相川~」


 「彼女一人に責任を押し付けるのは違うと思います!」


 「相川!」


 肩を掴んで静止させようとしたが相川は弁に熱が入り止まらなかった。肩に置いた手を振り払い熱弁を続ける。


 「相川君、私は武藤さん本人の意見を求めているのであって君の意見は聞いていないんだが」


 「いいえ、私は武藤さんの()()ですから、言わせて貰いまーーー・・・・・・ヒヤァァァーーーっ!!!」


 ダメだなこりゃ、何言っても止まらんな。

 相川の背後から両手を伸ばし動く度に揺れるスイカ二玉を鷲掴みした。 


 「い、いきなり、何するの武藤さん!!」


 「もう黙れ」


 冷めた目で相川を見る。


 「何でよ!私は武藤さんのために・・・・・・」


 「これ以上口を挟むんなら、そのスイカ二玉もぎ取るぞ!」


 指を動かし迫ると相川は顔を赤らめ静かになった。

 直ぐ止めないと相川は暴走する処がある。猪突猛進な性格をしているので、止める時はいつもこんな感じだ。


 「えー、暴力事件ですね・・・・・・。まぁ、言いたい事は正直、幾つかありますよ」


 この際だ、言いたい事は全部言ってやる精神で話した。


 「まず始めに、()()起こした事件の様に言っていますが、私自身は何もしていません!」


 「い、言い逃れか!」



 「私は普通に登校しているだけです。私を待ち伏せし、騒ぎを起こしているのは相手の方であって、私ではありません! 事件にまでなったのは彼等の生です」


 「男子生徒数人に暴力を行使したと報告を聞いているが?」


 「私は自分の身を守っただけで、正当防衛です」


 「な、何が正当防衛だ!」


 「いいえ、正当防衛です。さっき会長が言っていたでしょ、相手は男子数人だって」


 私はハッキリと意見を述べ補足した。


 「女子一人に相手は数人、降り掛かる火の粉を払っただけです」


 話しを聞いていた生徒会の人達は顔色を変えた。反省するという態度が私に全く見られない事に眉間にシワを寄せた。

 

 「それと相手は全員武器を所持していたんですよ、そこの処は生徒会はどう思っているのですか?」


 意趣返しと言わんばかりに質問を返し意見を聞いてみた。

 

 「それは・・・・・・」


 何やら口ごもる生徒会の人達。まさか逆に質問が反って来るとは思わなかったのか、モゴモゴと言い出す。


 「我々が聞いているのは暴力事件についてであって所持していた持ち物についてではない! 話しを反らすな!!」

 

 ぷふぅ・・・・・・


 私が笑い出した事に怒りを露にする生徒会の人達。


 「何が可笑しい!」


 「おっと失礼、何も分かっていないのに事件について話しをしているので、つい・・・・・・」


 笑いを抑えるように口元を手で隠すが、それでも笑いが止まらない。


 「事件・・・事件、暴力事件・・・クフフッ・・・・・・」


 どうやら笑っている私の姿が異様に見えた様で生徒会の人達は少し引きつった顔をして聞いていた。

 一頻(ひとしき)り笑い、口元にあった手を下ろし深いタメ息をした後に東会長を見た。

 

 「あんた達が言っている暴力事件って言うのは所持していた武器ありきでの事件だ、それを話しの一部を改ざんし私一人に責任を押し付ける気か?」

 

 「む、武藤さん・・・・・・」


 今まで黙って聞いていた相川が私の強い口調に驚いていた。


 「あんた達生徒会は事件の責任を取らせる為に今回、私を呼んだって訳か」


 「き、君は事件を起こした当事者なのに責任を感じてないのか?」


 生徒会の一人が私にそう言ったので返事を反した。


 「全くありませんよ、責任も反省も、何もありませんし感じていません」


 今日一番の笑顔で言ってやった。


 「会長、彼女は危険です。 我が校には必要ない人物です!」


 この主張を皮切りに他の生徒会の人達も武藤蘭香は危険人物であるという発言に賛同し東会長にも求めたが当の東会長は黙って聞いていた。


 「会長、武藤蘭香を退学させましょう」


 「そうですよ、会長!」


 「・・・・・・」


 「会長、どうされたんですか?」


 


 「盛り上がっている処悪いけど、あんた達に私を退学にする権利なんて無いから」


 チッチッチと、人差し指を左右に動かし言ってやった。


 「彼女の言う通りだ我々生徒会に学生を退学にする権利なんてモノは無い」


 「か、会長?」


 生徒会の人達は東会長の言葉に唖然としていた。


 「私は武藤蘭香に制裁をするつもりで呼んだ訳ではないんだ」


 「どういう事ですか?」


 てっきり暴力事件をおこした責任を取らせる為に呼び出したものと生徒会の人達は思っていたようだったが、東会長は違った様だ。 


 「勘違いさせてすまない諸君、私が彼女を呼んだのは暴力事件についてでは無いんだ」


 まさかの会長の言葉に生徒会の一同は言葉を失った。


 「じゃあ、どのような要件で武藤さんを呼び出したんですか?」


 相川が東会長に質問をした。

 すると東会長は一枚の用紙を出した。


 「うげぇっ!!」


 はっとして口元を抑えたが遅かった。

 東会長が呼び出した本当の理由が分かり私はつい、声に出してしまった。


 

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