24. 相川のお節介が発動中
生徒会室へ後から入って来たのは東生徒会長が前もって呼んでいた選抜の選手達だった。
「初めまして、三年の如月だ」
男子生徒が挨拶をした。他の人も続けて自己紹介を行った。
「同じく三年の八重樫だ」
「同じく三年の津田よ、宜しく」
男子学生二名、女子生徒一名、計三名が代表として挨拶をしたのだった。
「なんで呼んでたんですか?! 話しが早いですね!」
顔の表情筋がピクピク動く、この状況を驚けば良いのか呆れれば良いのか怒れば良いのか分からず色々な感情が混ざり合い気分が悪い。
今にも吐きそうだ。
「彼らがこの学校の選手達だ、チーム戦のリーダーの岸本くん、男子個人戦選手の八重樫くん、女子個人戦選手の津田くんだ」
「聞いてません、そんなコト!」
「スゴイ! スゴイ! 代表選手一同を揃って見れるなんて~」
側で感動しながらテンションが高い相川を目を白くして冷ややかに見ていた。
「という訳で、どうだろう?」
「答えならNOです」
キッパリと断ると周りがザワついた。
「ええ~っ! 何でぇ!?」
大きな声を上げて驚く相川だった。
いや、何でって言われても普通断るだろ?
「選手に選ばれるなんて凄いコトなのよ名誉なコトなのよ、それを断るなんて信じられない!」
あり得ない~と私を非難する相川にイラッとしつつも自分を抑えた。
凄いコトだろうと名誉なコトだろうと誰から何を言われても自分の意志を変えなかった。
そもそも名誉なんて、いらないし。
「何と言われ様とも返事を変えるコトは無い・・・・・・それと相川!」
名前を呼ばれビクッと肩が動いた相川に私は釘を刺した。
「余計なお世話を焼くのは止めろ!」
「な、何でよ・・・・・・」
「小さな親切、大きなお世話ってヤツだ! 頭の良いお前なら、この意味分かるよな!」
ズイッと相川に詰め寄った。場所が何処だって構うものか、この猪女には一度強めに言って聞かせないと後々、問題がおきた時に面倒な事になる。
「わ、私は善かれと思ってーーー・・・・・・」
「それをヤメロって言ってるんだ、そんなに言うなら相川が出れば良いだろう、名誉なコトなんだろ?」
「わ、私じゃあ無理よ武藤さんじゃないんだし!」
なんじゃそりゃ?
「兎に角、私は選手にはなりません、以上!」と締めた。
「もしかして、選手として声を掛けられて緊張しているのかい?」
「そりゃ~緊張もするだろう、俺達だって最初の頃はそうだったし」
「そうね~でも気が早いわよ、代表選手を目指すんなら経験ー色々積まなきゃ~」と八重樫、津田と名乗る二名も場を和ませる様に笑ったが彼らの笑いは私の癇に触ったとは思っていないようだ。
「緊張も何もしていません、私は選手にはなりません」
「何故だい?」
信じられないと言わんばかりの表情で私を見る東生徒会長に言ってやった。相手が生徒会長だろうが関係無い。
「前にも言った筈ですよ」
「しかし学校側としても死活問題だ、こちらも引く訳にもいかないんだ」
何でだよ! 別に私じゃなくても良いだろう?
有り余ったエネルギーを持っているヤツなら沢山いるだろう、毎朝校門前にいる不良達とか・・・・・・選り好みしなきゃ直ぐに見つかるだろうに・・・・・・
「東生徒会長もこう言ってるんだし、一度練習風景とか見てから決めても良いんじゃない?」
うむ、と東生徒会長も頷いた。
顔の表情筋の痙攣が治まらない。
「そうと決まれば明日一緒にーーーっ!!?」
私は相川を見つめた。
「む、武藤さん? 顔が怖いよ・・・・・・」
「私は致しません(棒読み)」
「でも・・・・・・」
「私は致しません」
相川が何か言う度にそれを続けたが私の堪忍袋が先に切れた。
「いい加減にしろ!」
私が怒鳴った事で周りがが静かになった。
「何を言われようが返事はNOだ! この話しはこれで終いだ。帰る!」
強制的に話しを終わらせた。これ以上付き合っていると永遠と終わらない気がしたので無理矢理にでも話しを終わらせ生徒会室から出る事にした。
「あ、武藤さん!」
相川の制止を振り切った。後ろで何か言うのが聞こえたが自分の中でそれらの声を遮断した。
聞くのはイヤモードに徹した。
その後は教室に戻り授業を聞いていたが内容は入って来なかった。
「おい武藤、武藤・・・・・・」
授業中、先生に名前を呼ばれても無気力で答える気にはならなかった。
「珍しく教室に要るならこの問題を解いてみろ」
なんて言われても「解りません」で通した。その間、ずっと相川が私を睨んでいたので午前中は目を合わせないように窓に写る景色を眺めていた。
午前の授業が終わると直ぐ教室から出て行った。相川に捕まってお昼休みを潰したくなかったので逃げたのだ。といっても、逃げる場所なんてたかが知れてる。
さて、今日は何処でお昼にしよう?
下から体育館、保健室、図書館、科学室、理科室、音楽室、etc~・・・・・・練り歩き最終的に屋上でお昼をするコトにした。
青い空、風に流される白い雲を見ながらオニギリ片手にお昼を取った。給水タンクに腰掛けオニギリを味わう。
「暖かいな~こういう日は学校サボって繁華街のゲーセンで遊んでたいなぁ~」
風を感じ春の陽気にのほほんとしていると下の方が何やら騒がしい。
「あ、いた!」
ん? 誰だ?
見上げる形で私に指をさす女子生徒と取り巻きの何人かが屋上に現れた。
何だよ人が飯喰っている時に!
「貴女、武藤蘭香ね」
オニギリをボリボリ頬張りながら様子を伺った。
「一年生でありながら選抜選手に出ようなんて生意気よ!」
取り巻き達も、そうよ! そうよ! と言い出した。
「武藤蘭香、身の程を弁えなさい!」
気の強そうなリーダー格の女子生徒は私に抗議している様だが口をモグモグさせながら話しを聞いていた。
「選手にはならないってーーー・・・・・・」
またオニギリをモリモリ頬張りモグモグと口を動かした。
「ちょっと人の話しを聞いているの?!」
「聞いてる、聞いてる」
「人が話をしているのに、何よその態度は!」
いや、いきなり来て喋り出したのは貴女の方だから。こういう人種は苦手なんだよな~。相手しても無視してもしつこいからなぁ~どうしよう?
「態度云々言うんなら常識が悪いのは、そっちも同じだろ」
「何よ、失礼な人!」
私の発言に取り巻き達がブーイングを出した。
「人と話す時は、まず名乗るモノだろ、貴女達とは今日が初めましてなんだけど、それとも挨拶も無しに一方的に話しをするのがソッチの常識なの?」
彼女達は顔を真っ赤にしながら、私に対してまだ何か文句を言っている。
「素行の悪い野蛮人のクセに!」
ハァ~・・・・・・聞いていられないし、相手をするのも嫌だと思っていると取り巻き達を押し退け前に出て来る人物がいた。
「ちょっといいかしら」
また新しい人が出て来た。
「私は二年の泉よ、貴女が武藤さんね?」
「そうですが?」
「選抜選手について貴女に話しがあるの、今いいかしら?」
今度の人は少しマトモのようだ。
選抜選手についてってコトは選手の人かな? また何度も何度も呼ばれるるのは面倒臭いし、しっかり断るか。




