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03. 必須科目


 高校に通うと国語、数学、理科という一般科目の他に必須科目となっている授業がある。何処の学校でも授業として組み込まれている。 "実技"

 この実技、能力が高い生徒を集め学校の代表として一年に一度開かれる選抜実技対抗戦という大きな大会があり優秀な成績を納めることが出来ると表彰と副賞が大会の方から出るのだ。

 ぶっちゃけ皆、副賞を目当てにしているのだ。

 金一封であったり、旅行券だったり、商品券だったりとその時によって違うようだが、実はこの大会には()()()が学生達の中で(ささや)かれている。

 大会に出場すれば卒業後の将来は安泰(あんたい)だという噂が生徒達の中での暗黙の了解となっているのだ。この大会は()わば生徒の自己のアピール場として自分を売り込むことが出来ると言う訳だ。

  大会には多くの著名人や大会関係者(OB)等も参加している為、学生達も実技の授業には力を入れているのだ。


 「皆、いるなー。今日は体力作りでグランド一周からだ」


 「「「えぇ~~~っ!!」」」


 運動が苦手な生徒達からブーイングが飛んで来たが皆揃ってグランドを走った。

 一年生は主に体力作りの内容が多い。二年生になると体力作りの他にも身体能力向上を目的にした内容になってくる。

 三年生にもなると個々の能力の差が出てくるので一定の水準を下回る生徒はどんどん落とされ大半は非行に走る傾向があるようだ。

 所謂、不良(ヤンキー)と言われる人種が生まれるのだ。思い描いた将来設計図が崩れたといってヤケを起こす。

 ちなみに、毎朝私に絡んで来る(やから)も三年の不良達である。私を倒せば有名になるだとか思い、我こそはと言って沸いて出て来るのだ。

 まるでスパムか床を走るゴ○ブリの様に思えて正直ウザい!

 何とかキリの良い処で不良達との縁を切れないものかと悩んでいる今日この頃である。


 「先生ー、一周なんて長いですよ~」


 「どうしたお前達、一周しただけだろ? 平気なヤツでっているんだぞ」


 実技担当の先生が言うと、生徒達の視線が全てコッチに向けられ視線が刺さる。

 コッチを見るな!

 

 「さぁまだまだ走るぞー、ファイト!」


 担当教師のエールを聞きながら動かない足を動かす。


 「そ、それより・・・何で、武藤さんは・・・へ、平気なの?」


 それを今、聞きますか?

 相川百合亜は疑問に思い聞いてみた。


 「何でって、毎朝毎朝、絡まれているんだから体力も付くって」


 何を今さら聞くことかあるのか、見ていたら分かるだろ。


 「で、でも暴力は・・・いけない・・・コトだと・・・・・・」


 イラッ!!

 

 「そういう事は私より速く走れる様になってから言え!!」


 相川百合亜の後の方からニュッと両手を伸ばし大きく揺れるスイカ二玉を揉んでやった。


 モミモミモミ~モミモミモミ~


 「アハハハ~っ、止めて! 何処触ってるのよー!!」


 「ほら、走れー!」


 モミモミモミ~モミモミモミ~モミモミモミ・・・・・・


 「イヤァァ~、アハハハ、止めてぇ~」



 

 キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン~・・・・・・


 「お、予鈴だな。今日は此処までお疲れー」


 実技の授業を行った生徒達は皆、立ち上がる事が出来ずにいた。


 「相川ー、動ける?」


 一部を除いては。

 中には息切れをしても立っているコトが出来る生徒もいた。


 「武藤ーーー、勝負じゃあーーー!!」


 大声を上げグランドを走る三年の不良生徒が現れた。


 「先生ー、授業妨害されてますー(棒読み)」


 「予鈴も鳴ったし、解散!」


 じゃあ、と言ってその場を去る実技担当教師だった。

 あ、逃げたな。


 「それじゃあ仕方無い」


 向かって来る不良の三年生にニヤリと口角が上がった。

 他の一年の生徒達が見ているその場所で、三年生を迎え撃ち叩きのめしてやった。


 「だ、駄目よ、武藤さん!!」


 ハッと気づいた相川百合亜は私を静止させようとしたが間に合わず、三年生の不良は目の前でボコボコにされていった。


 「武藤さんーーー!ダメだってば!!」


 相川百合亜の声がグランドに響いた。




 

 そんな光景を一部始終見ていた人物がいた。

 生徒会員の三年生生徒会会長だった。


 「やはり一度彼女と話をする必要があるようだ」

 

 生徒会会長、(あずま)公彦(きみひこ)は一連の様子を観察して、"武藤蘭香の活用法"の策を練っていた。


 「やはり、あの力は我が校に必要なモノだ」




 実技の授業も終わり教室に戻り次の授業まで休憩していた。授業の準備をしていると放送が流れた。


 ピン~ポン~パン~ポン・・・・・・


 「一年の武藤蘭香さん、生徒会室にお越し下さい」


 ピン~ポン~パン~ポン~・・・・・・


 「・・・・・・」


 はぁ?!

 

 教室の中がザワつき全員の視線が一斉に此方に向けられた。


 「武藤さん、今度は何をしたの?!!」


 「待て! 何で、やらかした前提で話す!!」


 「何かしたから呼ばれたんでしょ?」


 「面識も無いのにする訳ないだろう!!」


 相川は私の手を取った。


 「大丈夫、私も一緒に行くから、心配無いから・・・ね?」


 イラッ!!


 何が、ね? だよ!!


 「大丈夫、何かあっても私だけは信じているから」


 瞳をウルウルさせながら何かキラキラしたモノが周りがら出ている。


 「・・・・・・」


 うさんくせー・・・と心の中で呟いた。


 「さぁ、生徒会室へ、Let's Goー!!」


 私の手を引っ張り教室を出て生徒会室を目指した。

 ズルズル引きずられて行きながら思った。

 

 もう、勘弁してくれ・・・・・・と。

  

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