17. お説教は正座と共に
学校を抜け出し、郊外の地下格闘技場でストレス発散をして、その帰りの途中で五人の男性達に襲われた。始めにナンパ男二人を断って足早に去ろうとしたらまた別の男性二人が待ち構えていた。
最初の二人組とは違い一人は持っていた刃物を振り回し制服を切り裂かれた途端、身体に異変がおきた。隠れていた五人目の男性が出て来た。薬か何かの影響で眠気に襲われたが隙をつき、その場から逃走に成功した。
眠気と痛みと戦いながら自宅の前まで着くと力尽きた。
次に目を覚ますと病院のベットで寝かされ休みを消化中だった義理の兄、武藤 仁が側でうたた寝をしていた。
私は目を覚まし、事の詳細の一部を省略して義理兄に話すと義理兄の口から以外な言葉がでた。
"俺の知り合い"
つまり義理兄の仕事仲間の人間が私を襲った犯人だったのだ。私は義理兄に連れられとある場所へと向かった。
車で一時間程走った人気の無い広い広野には大型飛行機が止まっていた。
黒塗りの高級外車といい、この大型飛行機といい義理兄はどういった仕事をしてあるんだ。
いや、聞かなくても検討はついている。
すると大型飛行機の中から男性が一人表れた。義理兄はその男性に近づき男性を殴り飛ばした。飛ばされた勢いで受け身も取れず機内に積み込まれたコンテナに身体を叩きつけるた。
その光景に唖然としていると機内からまた一人男性が表れた。義理兄は後から表れた男性に残りの三人を機内のデッキに呼ぶよう指示を出した。
男性は急いで残りの仲間達を呼びに行った。
コンテナで倒れた仲間を見て思ったのだろう、次は自分だと・・・・・・足早に指示に従った。
先程、殴り飛ばした男性の首根っこを掴み引きずる形で運んでいる義理兄の姿に畏怖を感じた。
「に、義理兄さん・・・その人・・・」
「こいつなら大丈夫だ、普段から鍛えているからこれくらい何ともない、気にするな」と笑顔で言われても恐いわっ!!
これくらいって、殴った箇所が真っ赤に腫れてるし動かなくなったからって、そんな雑に扱って良いの? その人まだ、生きてるよね?
やっぱりついて来るんじゃなかった・・・・・・
後悔してももう、遅かった。
義理兄に指示を出され他の仲間達を呼びに機内を走るディックはゼルを見つけた。
「ゼル、来て!」
「ディック、なんだよ急に」
部屋の一室で何やら作業中だった処をディックに呼ばれ手を止めた。
ゼルの手を取り引っ張り走り出した。
「おい何だよ、まだ作業中だぞ!」
ゼルの言葉を無視して次に見つけたのはウェーブのかかった金髪を入念に手入れしていた宇佐見だった。
「見つけた!」
「はぁ? 何だよ急に!」
こちらも宇佐見の手を引っ張りデッキに走った。
デッキの入り口で、ディックはゼル、宇佐見、二人の背中を強引に押し出した。
「ちょ、何だ・・・よ」
「俺はまだ作業ちゅ・・・」
二人は気づいた。
般若の形相で腕を組み仁王立ちしていて、本来ならこの場には入るはずの無い人物が此処にいる。その足元には顔半分が真っ赤に腫れ上がり倒れている仲間の姿を・・・・・・
ルーサーッ!!! と副隊長!!
「な、何があったんだ!」
青ざめ震える宇佐見とゼル、蛇に睨まれた蛙状態に陥った三人は武藤 仁と目があった瞬間、ヒィッと小さく悲鳴を溢した。
「あと一人はどうした!!」
三人組は只ただ、脅えるだけだった。
その光景を離れて見ていた私にも三人組の恐怖心が伝わってくる。正直、チビりそうだ。
その頃別の一室でAIとパソコン作業中の伊勢野は街の防犯カメラをハッキングして昨日の夜、逃げた女の子の姿を探そうと必死にパソコン画面と闘っていた。
「そう、そこ!」
画面に映る女の子の映像を目で追うが同じ所で見失う。瞬きせずに注意して見るが画面から何故か探している人物が消えるという現象に悩まされていた。
「何で、彼女の姿が画面から消えるんだ!」
「・・・・・・モウイチドミマスカ?」
一ノ瀬のアドバイス通り防犯カメラを確認中、訪ねてきた人物がいた。
コンコン・・・・・・
「ちょっといいかな」
「一ノ瀬さん?」
「伊勢野くん、デッキまで来てくれるかい?」
「でも、カメラの映像確認が」と言うと「いいから、いいから」と言われデッキに連れて行かれた。
入り口に差し掛かった途端、思いもよらない光景を目にしてしまった。
「え?」
般若の形相で仁王立ちしている武藤 仁と、その場に正座している宇佐見、ゼル、ディック三人と顔半分腫れて床に倒れているルーサーの姿がそこにあった。
伊勢野の背中を強引に押し武藤 仁の元まで連れていく一ノ瀬だった。
「どういうコトですか、一ノ瀬さん?!」
「それは本人に直接きいてくれ」
先に正座している三人組の隣に正座の体勢で座るが他三人組は小刻みに震え青白い顔色をしていた。
これは一体どういうコトかと、未だに状況が把握出来ない伊勢野は困惑しつつ武藤 仁の目を直視出来ずに下を見ていた。
な、何がおきているんだ?
何で三人共震えているんだ? 何で、ルーサーさんは顔半分腫れて倒れているんだ? そして、何故休みの筈の副隊長が此処にいて恐い顔しているんだ?
一人を覗き、計四人は武藤 仁から発する圧力に脂汗が滝の様に流れて止まらないでいた。
重たい空気の中で先に口を開いたのは武藤 仁だった。
「お前ら何で集められたか、分かっているか?」
重たい言葉に四人は一斉に首をブンブン振った。
「心当たりは無いのか?」
またも重たい言葉が反って来たが四人は首を振る。
「俺のいない間に隊長から極秘任務とやらを受けたとか?」
側で見ていた一ノ瀬も話しの中に入って来た。
「隠さず全部話した方が良いよ、もう分かっているから」
震えながら宇佐見が手を上げた。
「た、確かに隊長から、任務を受けました」
「はい、じ、人材の候補者に会ってスカウトするようにと・・・・・・」
ゼルも意見を述べた。
最後にディックも続いた。
「宇佐見と伊勢野が声を掛けて逃げられて、ルーサーが刀で襲った」
「自分と伊勢野は声を掛けただけで、その後ルーサーのヤツが試すとか言って襲ったんです!!」
悪いのは全てルーサーです!! と宇佐見は説明をしたが重たい沈黙が数秒流れた。
一ノ瀬はタメ息をついた。
「全部、知っているって言っただろ」
「それは、どういう・・・・・・」
恐る恐る宇佐見は一ノ瀬に聞いた。
「宇佐見くん、声かけじゃなくてナンパしたんだって」
「へ?! い、いや~」
一ノ瀬は続けた。
「それとゼルくん君も相手に薬を使用したよね、薬使用の許可は取って有るのかい?」
ゼルはハッとした。
「お前らは揃いも揃って一般人に刃物で襲い、許可も無く薬を使用した」
間違い無いなと威圧して有無を言わせなかった。
黙っていれば良かったモノを宇佐見は発言してしまった。
「た、確かにナンパはしましたが・・・」
「したんだな!!」
武藤 仁はズイっと前に出て来た。
「・・・・・・えっと~」
「したんだな!!」
圧力を掛け、もう一度宇佐見に聞いた。
「・・・・・・はい」
武藤 仁の圧力に宇佐見は負けた。
「次にゼル、許可は取ったのか?!」
「・・・・・・取ってません」
うつ向き小さく答えた。
デッキ内は重たい空気の中、質問では無く尋問にあっていた。
武藤 仁による尋問の中で伊勢野は気づい。
「ふ、副隊長・・・お話しの最中にすみません」
「何だ、伊勢野」
恐怖で思うように口が回らないが勇気を振り絞り手を上げた意見を述べた。
「う、後ろにいらっしゃる・・・方は?」
その言葉に正座していた三人組は私の存在に気づいた。
「こいつは俺の義理妹だ」
「い、妹ぉぉぉーーーっ!!!」




