02. 夢と現実のギャップ
私は武藤蘭香、入学式を終えて四月から高校一年生。
高校は中学と違う所もあり心機一転、新しい制服と共に学生生活をエンジョイするぞ! と意気込んでいたのに・・・・・・
何故こうなった?
人助けのつもりで手を出したは良いが後から後からズルズルと人数が増えていく。
「お前が武藤ってヤツか、俺がお前の無敗記録を止めてやるよ!」
いや、無敗記録って何だ?!
こんな感じで、お決まりの口上を述べて向かって来るので、その度にその場で叩きのめしていた。千切っては投げ、千切っては投げの様な状況が高校の入学式から約三ヶ月続いた。
正直もう、うんざりだ。
午前の授業が終わり昼休み、今日はお昼ご飯を屋上で済ませた。
「ハァ~、こんなハズじゃなかったのに・・・・・・」
プフフフ・・・・・・ヒヒヒ~・・・・・・
笑い声が聞こえる。
アハハハ~~~・・・・・・
「いや~、今日も朝からお疲れチャン。毎朝毎朝、頑張るねぇ~」
お腹を抱えながら爆笑する一人の男子生徒。私より先に屋上に来ていて女の子二人に挟まれながらお昼ご飯を食べていた。
「あの人数を相手に無事だなんて凄いよ」なんて言いながら私に拍手を送った。ブラボー!ワンダフォー!と間の手を入れながら。
「何が凄いだ!見てたんなら助けようとは思わんのか?!!」
おちょくる男子生徒の胸ぐらを掴み詰め寄った。
男子生徒は悪びれる事なくケロっとしながら言った。
「全く、全然」
イラッ!!
男子生徒の首を腕で、がっちりホールドしながら締めた。
腕に力を入れながら少しずつ締め上げると何度もタップが入る。
「ギブ、ギブ・・・・・・ッ!!」
そんな私達のやり取りをケラケラ笑いながら見ていた二人の女子生徒。
「いやマジスゲェ~、モノホンだよ」
「本当だー、記念に写メっとこ」
スマホのカメラ機能でパシャパシャ撮る女子生徒。
「でもよく毎日無事よねぇ~」
「そうそう、相手は三年ばっかだったのに~」
女子生徒二人が笑いながら話す。
「それはコイツの中身がオスだからさ」
指をポキポキ鳴らし男子生徒を睨み距離を詰める。
「いやだって、そうだろ? 毎朝毎朝、絡まれてるのに無事で無傷なんだし、それ以外説明付かないだろ」
ただならぬ雰囲気を感じ言い訳を始めた男子生徒に私は言った。
「無事な訳ないだろ!!」
「と言う?」
男子生徒が聞いて来たので話してやった。アイツ等は朝だけじゃなく帰りの時間も奇襲しに来ることがあるという事を
「学校内にいる時は、授業中だろうか休憩中だろうが襲って来るんだよ!」
話をしている最中に屋上の扉を開けて入って来た男子生徒がいた。
「武藤ってヤツは此処かぁ? ブゴッ!!」
バンッ!! と勢い良く扉を開けた男子生徒の腹、目掛けてドロップキックをお見舞いしてやった。
「こういうヤツがいるんだよ!」
蹴られた男子生徒は階段を転げ落ち悲鳴が聞こえた。
転げ落ち生徒を見て冷や汗をかいた男子生徒。
「そんなことばっかするから恨みを買うんじゃないか?」
呆れながらタメ息混じりに男子生徒は私に言った。
「学校内だけならね!」
「え? ってことは・・・・・・」
そう・・・こういうコトは学校内だけではないのだ。
帰路の途中を狙って襲って来たり、帰り道をつけて自宅までついて来るヤツもいた。
家までついてくるとかって、ストーカーだろ!!
「自宅までって、大丈夫なのかよソレ!?」
「フン、問題ない!」
私を誰だと思っているのだ、付き纒いに関しては策がある。
「策って? 何かあるのかよ?」
付き纏いに対しての策というのは、
①帰りのルートを変える。
わざと遠い所まで歩かせる。
②帰り道のルートに、わざと繁華街の道を使う。
繁華街=大人のお店近くのルートを使う。
③変装する
お店や駅のトイレに入る。
「ってな感じかな」と説明してやった。
「①は兎も角、②の大人のお店って・・・・・・」
察しがついたようでサッと青い顔をしながら聞いて来た。
そう、大人のお店とはオネェさんがいるお店なのだ。
最悪そのお店にストーカーを押し込むコトになる。
「私はストーカーから逃げられるし、お店はお客が捕まって儲かるし、Win-Winってヤツさ」と親指をグッと立てた。話を聞いていた男子生徒は言葉を失い、女子生徒二人の口から「マジパネェ~」が連呼された。
「最後の変装もバレるんじゃあ?」
「大丈夫、大丈夫、アイツ等も流石に女子トイレの中まで入って来ないから、メイクと変装グッズ使って誤魔化してるし今の処バレてません」
ハハハッ~と高らかに笑ってやった。
「誰であろうが掛かって来い!!」
フン、と勝ち誇っているとまた屋上から声が聞こえて来た。
「どんな相手だろうと私には・・・・・・」と扉の方を見ると、そこには眉間にシワを寄せて険しい顔をした女子生徒がいた。
「武藤さぁーーーんっ!! また、やったわね!!」
ウゲェっ!! 相川ーーーっ!!!
次に来たのは相川百合亜だった。
「探したわよ!!」
肩で息をしているのでお昼休み中校内中を探し回っていたようだ。
「ほ、放送で呼べばいいだろ?」
「呼んだって貴方は来ないでしょ!!」
ズンズンと迫り手を掴み、引っ張って行く。
「ちょっと、何なの?」
「午後は実技の授業なんだから教室で着替えるわよ!」
ピタッと動きを止めてクルリとさっきまで話していた男子生徒と女子生徒二人に向き直る。
「貴方達も午後の授業遅れちゃダメよ!」
ちゃんと授業でなきゃダメよと注意をし、屋上から出て行った。
「何あれ、ウザっ!」
「本当、アイツ親七のクセに威張って! ムカつくわ!」
「まぁまぁ二人共、気分変えて、今日一日このまま屋上にいる? それともカラオケにする?」
「「カラオケー!!」」




