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エリオットside.
あれからエリオットはフラつきながらもなんとかキリオス伯爵家に到着する。門の外には何故か呆然とした表情のフィナが小さなバッグを持って立ち尽くしていたのだ。
「……フィナ、何をしているんだ?」
しかし、フィナは黙ったままで答えて来なかった。そんなフィナを冷たい目で見ながら近くにいた門番が答えてきた。
「この娘はキリオス伯爵と愛人との間に生まれた子供じゃなかった。だから、キリオス伯爵家とはもう関係ない。ちなみに元キリオス伯爵と愛人は沢山の罪を犯したので既に捕まって連行されていったぞ」
「な、なんだって? フィナ、本当なのか⁉︎」
エリオットはフィナの肩を勢いよく掴み、揺さぶる。しかしフィナは返事をしてくる気配はなかった。
そんなフィナに苛々してしまいエリオットはつい手を上げようとする。しかし、門番に腕を掴まれ地面に叩きつけられてしまった。
おかげでエリオットは背中を打ち付け、しばらく地面をのたうち回ってしまう。そんなエリオットに門番は怒りを含んだ口調で言ってきた。
「ハンナお嬢様に酷い事をした娘だが……だからって身重の女性に暴力を振るうのは間違っている。さあ、その娘をさっさと連れて行って下さい。あなたは婚約者なんですよね」
門番は有無を言わせぬ口調でそう言ってきたのでエリオットは断る事ができず、仕方なく自分が乗っていた馬車にフィナを乗せるとタウンハウスに戻った。だが門の中には入れてもらえなかった。
しかも、領地の端に小屋を建ててあるからそこで畑でも耕して平民として今後、生きていく様にと父であるエデュール伯爵に言われてしまったのである。
どうしてこうなったんだ……
そう思ったが、すぐに自分がこの選択を選んでしまった事を思いだし、エリオットは地面に座り込み項垂れるのだった。
◇
ソニアside.
数日後、世間はキリオス伯爵家の話題で盛り上がっていた。
元キリオス伯爵エドモンドが沢山の犯罪を犯していたことや、妻を毒殺して愛人とその娘を連れ込んだこと。
そして、ハンナを殺そうとしたことまで細かく新聞に載ったのである。もちろん、流したのはソニアとレフティア公爵である。
「小娘達の事は載せなくて良かったのか?」
「あの二人を奴らみたいに死刑にしたら優しいハンナが悲しむわ」
「ふん、本当はハンナの幸せな姿をあの二人に見せつけたいんだろう」
「ふふふ、さすがはお兄様だわ。その時の表情を見るのが楽しみよ。それより、やっとお姉様の敵討ちができたわ」
「奴らがハンナを狙った事で色々と辿れたからな」
「おかげで大掃除もできたし後はキリオス伯爵家の当主が帰ってくるのを待つだけね」
ソニアはそう言って病室の窓から中庭を見つめる。そこには楽しそうな表情でルーカスと談笑しているハンナがいた。
そんな二人を見つめているとルーカスがゆっくり跪き熱を帯びた瞳でハンナを見上げたのだ。それを見たソニアは笑みを浮かべて窓から離れる。
「頑張りなさいねハンナ」
ソニアはそう呟くと同じく窓から目を離したレフティア公爵と微笑みあうのだった。
fin
新作を投稿しました。
もし宜しければそちらも読んでいってください!
ドッペル 〜悪役令嬢エレーヌ・ミルフォードの秘密
長編です!
宜しくお願いします(^ ^)




