閑話①
西蓮久美さん?
ああ、あの人は蛍と連絡先交換して帰ったよ。
まあ、ただじゃ帰らなかったらしいけど(殺意)
by夏菜子
つまりミニ回想で描写するよ。
でも今回じゃないよ。
過去と決別の為に、蛍とカナが墓参りへ行くより前。
夏菜子の地味な嫌がらせ攻撃で、見事に撃沈した蛍と、それにより罪悪感バーストした夏菜子が仲直りした後の話。
二人は夏菜子の家、そのリビングに配置された一人用のソファーにて……
イチャついていた。
「軽いなー蛍。軽すぎない?」
「うるせ、なにぶんいろんな意味で燃費が良くなったんだよ」
ソファーに座り込み、蛍の太ももの上でゲームのコントローラーを手に、体を横に傾けてテレビ画面を見る夏菜子と、
「良いじゃん良いじゃん。女の子の体重が軽いっていうのは誉れだよ?」
「そのぶん筋力が落ちてるから嬉しくないんだよ……」
ソファーに座る夏菜子の足の上に、ちょこんと軽く座る蛍。
その体は夏菜子の腕に、コントローラーを挟んでホールドされており、側から見たら女の子同士のカップルのようだ。
ちなみに片方は隠しているが、ガッツリ意識していたりする。
(あ〜〜!!!ちっちゃい!あざとい!なんか良い香り!身体細っそ!身体柔らか!お背中お預かり頂き感謝!!あっ、私そっちもイケるかも)
行くな。
昂りから変なテンションになるほど興奮してる人が一名。
あえて名前は伏せさせていただく。
(この夏菜子。我が生涯に一片の悔いなし!)
言っちゃったよ。
「あっ、負けた。なんで手元見てないのにあんな動きができるんだ?」
「ふふっ。経験の差ってやつよ」
二人の視線の先にあるのはテレビ画面だ。
そして、その横に小さく、テレビにコードが繋がれたゲーム機。
入っているソフトは某有名会社から発売されている、例の大乱闘するヤツだ。
なぜこの二人はあの後でテレビゲームをしているのか。
その問いに、強いて答えを出すならば、待ち時間だからである。
すでに晩ご飯の準備は出来ており、作ろうと思えばすぐに作れる状態。
寝る時のパジャマすら用意され、寝具は整っている。
この状況で何を待っているのか。
断じてカップ麺などでは無い。いや、少し前まではパンとカップ麺しか無かったが、今は違う。ちゃんと食材がある。
何を待っているか。
《てれれん♪テレレレレッレ♫テレレン♪テレレレレッレ♬テレレレレン♪》
《お風呂が沸きました》
お風呂である。
付け足すなら湯船が沸くのを待っていたのである。
あれの後、カナは蛍に「そういえば昨日、メールで言ってたお願いしたい事って、なんだったの?」と、聞いたところ、少し俯きながら恥ずかしげに
「お風呂の入り方がわからないからさ、一回一緒に入って学ぼうかと思って(後なし崩し的に毎日洗ってもらおうかと思って)」
という可愛らしい事情を聞き、
蛍と一緒にお風呂に入れるチャンスに大歓喜した夏菜子が、ありえない程の俊敏さで全ての準備をやり、
そして今、お風呂の待ち時間に思わぬ密着タイムで興奮していた、という事だ。
湯船が沸いたアナウンスがなり、蛍は小さく「あっ……」と小さく声を漏らす。
蛍は、今……というか先ほど思い至ったのだ。
あれ……?よく考えなくても、これってカナと……つまりタオルの有無は知らないけど一緒に入るって事だよな……?
、と。
いや、最初から気付けよ。
そう思わなくも無いが、というか当たり前に思うが、まあそこは残念な思考ゆえ仕方ないのかもしれない。
どこか抜けてるなんて次元では無い。もはやアホである。
「よし。沸いたしいこっか!」
少し楽しげに夏菜子は蛍を抱えて立ち上がる。
ヒョイっと言う擬音でもつきそうなほど、軽々と持ち上げられる。先ほど夏菜子が言っていた通り、本当に軽いのだろう。
もっとも、抵抗もロクにできなくなるという事なので、蛍からすればいろんな意味でたまったものでは無いが。
しかし、一人では風呂に入れないというのも本当のことなので、説得もしたところで損するのは自分で、抵抗など以ての外。
結局、蛍は諦め、(大丈夫、本当今日だけだから、もう毎日洗って貰うのは諦めるし、今日だけ)と考え、大人しく人形のように抱えたカナに運ばれるのであった。
思考が完全にフラグである。
見てくれてありがとうございます!
間空いてすまぬ。
でもやっぱりグッと来た時に進めたほうが良いやつできる気がしたんだ(言い訳)




