第45話
とりあえずで絶望した後、
『ちがう』と三文字で否定を返して、
あと30分くらいですよー。
と分かりやすく簡潔に教えてあげた。
きっとこれならカナちゃんもわかるかなー?
多分だけどカナは俺の家に一回来たけどいないのを知って、
こんなに大量のメールを飛ばしてきてるんだろう。
そこから読み取るに、カナは今すぐにでも俺に接触したいと。
ふむ。なにやら急ぎの用事があると見た。
とりあえず運転手のお爺さんに
「なるべくで良いんですけど急げますか?」
と疑問形でお願いした。
なんでなるべくをつけたのかって?
もっと速く走れますかで良いんじゃないかって?
いや、だって高齢の方だし……
事故が怖いので……
そんなお願いに無言で親指を立てる爺さんは普通にイケジイやね。
というか無言キャラなのか……。
俺の知ってる爺さんって大体お喋りとか好きなんだけど、
まあ千差万別よな。
ちなみにこんなにもメールされて気付かなかった事に、
疑問の声はあがるかもしれない。
理由はいたって単純、マナーモードにしてたからである。
ランニングにケータイを持っていく人の、
ケータイの使い方は二つくらい。
一つは連絡用。
そして、もう一つが音楽や一休みしてる時用の、
娯楽用品として持っていくケース。
俺は後者で音楽を聴きながらランニングしていたので、
通知などが来ても邪魔されないように
マナーモードにしていたのである。
あとただのマナーモード切り忘れ。
……よし。
一応何があったのか概要だけでも聞いとくか。
別にちょっと罪悪感が湧いてきたとかそんなのでは断じて無いけど。
そう思いまたケータイを開く。
「ねえねえ美紅ちゃん」
「はい」
ヤケに慌てていますが、その訳を訊いても良いですか?っと……
画面を指の腹で叩いて叩いて文章にする。
俺スワイプで文字打つのできないタイプの人間なんよね。
叩いて変換厨ですどうも。
「このカナちゃん……って友達?」
俺の横から顔を寄せ、スマホの画面を覗き見る西蓮さん。
画面には未確認のメール内容を一つずつ咀嚼する様子が表示されている。
「ええ、付き合い自体は(この姿では)少ないんですけど……大切な友達です」
ふ〜む……慌ててメールをしてくる事情とかは描かれて無いなぁ…
「そうなんだ。なんというか凄い……愛されてるね?」
西蓮さんがちょっと躊躇気味に言ってくる。
まあ確かに心配もしてくれてはいるんだろうね?
普通はきっと出かけてるんだなで済ませるだろうし、
そういう意味では愛されているんだろうけど……
これは明らかに行き過ぎだしなぁ…
心配もしてくれてるけど、それとは別に何かある気がする。
「ええ、だからお……私も、アイツが困ってたら力になりたいと思ってます。
愛してる相互同士って事で。
今回は何かいつもとは違いそうだし、あんまり無理させないようにしないと」
「え、あ、うん。そうなんだね……」
西蓮は思った。
この子、鈍感とか鈍いとかそういう次元じゃ無いかも……
見てくれてありがとうございます!
西蓮(見てる感じカナって人ちょっと病んでそうなんだけど大丈夫かな……、どうやったらこれを見て「ただ困ってるだけ」って思えるんだろ?
何かあったら守ってあげないと……!)




