第4話
「誰ですか?」
やってしまった…
今の俺…女の子の声だった…
「すいません、あの…どちら様でしょうか?」
これは…誤魔化すしかないか?
いや…でも、ちゃんと言わないと相談も出来ないし話すことも
出来ないよな…
仕方ない…俺が独自に考えた「猿でも分かる!説明得意になる方法!」
を使おう………ウキ?って言ったほうがいい?
私は島村夏菜子
最近、幼馴染を失っただけのそこら辺にいる
ただの女の子
幼馴染の名前は蟇目蛍。
この人もまた、そこら辺にいる様な平凡な男の子
でも、私はこの蛍に好意を持っていた
私が8歳ぐらいの頃
親が離婚して、私はどこかもわからないような
土地に引っ越す事になった…
まだ幼い私でも、なんとなくだけど
親の仲が少し悪かったのは分かってた
だから引っ越す時、母が家を出た時
なんとなく、「あぁ、もう父と会えないんだな」
とか思ってた
それ自体には抵抗が無かったけど
私が知らないとこに行くという事に凄く
不安を感じていた
人付き合いは嫌われるくらいならなんとも無い
でもイジメなどにあうとかは嫌だし
私がいじめっ子になるなんて論外だ
母から話を聞く限りでは
多分田舎の様な所に行く筈だ
だから私は見慣れない土地で
生活している人を観察して
態度を徐々に変えていく方針を取った
その方が後から変えが効くから
安定するなとか考えていた
移動が終わった後
外に出た私は少し驚いた
てっきりそれなりの都会とかに行くと
思っていたのだ。前に都内に住んでいたからそこよりも少し田舎みたくなる街へ。
だから、ど田舎まで行かない様な
田舎の姿を見て驚いたし
(ここで私は生きていくのか)
なんて考えていた
これから住んでいく
家に荷物を置いて母が引っ越し手続きなどを
やっている間、私はボケ〜
と外を窓から見ていた
ひと段落着いて、母が
「挨拶に行くわよ〜、準備しなさい」
と言って服を着替えながら、私に言ってきた
私は面倒臭いし、少し眠たかったけど
まだ昼間だし、暇だし
何よりこれからお世話になるかも知れない相手だから仕方なく
「は〜い、分かった〜」
とか返事しながらパパッと準備を色々済ませて
母と一緒に挨拶周りに行った
その時に蛍と出会ったのだ
彼は初めて出会った時は、少し眠そうな目をして
私と少しだけお喋りしてくれた
ただ、聞いてくることが、他の人とは違っていたのだ
他の人の子供達は
「前住んでた所ってどんな感じのとこなの⁇」
という感じで会話を始めてはしゃいでいたのに蛍は
「引っ越してきたの?
疲れたりして無いなら、ここら辺の事
案内とかしてあげようか?」
とか、少し大人の様な対応をして来たのだ
(ここら辺の事を知らないし、有難いな)
というような感じで当時はあまり気にしていなかったんだけどね
その後、お言葉に甘えて引っ越した家の周りの公園や学校の方などを
「ここは公園、学校帰りの上級生(小学生の)とかがたまに来たりする、
中学生とかもたまにいるよ」
「ここは小学校、業間と昼休みと遠足と社会見学以外はそんなに
楽しく無い場所……結構あるや」
という感じで自分の感想の様な物を挟んで説明してくれた
彼は相変わらず眠そうな目をしていたが…
こんな感じで私が学校とか転校して人付き合いが不安な時も
仲良くしてくれたり休日とかはたまに遊びに連れて行ってくれた
彼を好きになった理由などは無いが
彼が優しくみんなに接している姿などを見ていると
心がぽっとしたり、たまに胸がしめつけられたりして
好きなんだなと感じていた
そして、彼は成人になり就職した
私は彼と同じ会社で働きたいと思い
同じ会社で働く事にしたのだが
会社では彼の扱いは少し悪かった
変だな…彼は問題などを起こしていないし嫌われるような性格はしていないのに
と思いながら、環境の変化などの理由もあって彼の扱いの悪さには手が回らなかった…
そして私もこの環境に慣れてきて、彼の扱いの悪さに限界だという感じの事を思っていた時私は会社で最悪の噂を聞いてしまった
「あの、誰だっけ、なんか、蟇目さん?
ていう人いたでしょ?」
「ああ、あの色んな噂が流れてるイメージ最悪な人〜?」
「そうそう、あの人まだ会社来て無いじゃん?」
「そうなんだ。だからどうしたの?」
「彼、飛び降りて自殺したらしいよ」
……え?
この人達、今…なんて言った?
「それほんと? まあ、あんな噂通りの事してたら当然か〜」
…彼が死んだ?
私は体調が悪いと言って
会社を早退し、彼の携帯に急いでかけた
プルルルル
プルルルル
プルルルル
ガチャ!
出た! …良かった!
と思い、少し大声で、焦った感じで、安心した感じで電話に出た人に聞く
「蛍!今どこ‼︎」
だけど、出たのは彼じゃなく
「あの、違います蛍の母です、あなたは…かなちゃん?」
「はいそうです!蛍君は今どこにいますか⁈」
「…まだ…分からない」
「?…どういう事ですか⁈」
「蛍は……蛍…は」
え…
蛍は…
蛍は…蛍は…っ!
「嫌…蛍はっ…生きているんですよねっ⁈」
「……」
嘘だ…だって
私……まだ…気持ち…
「嘘、だって…」
私は走った
電話を切って、何処にいるかも分からない彼の元へ…
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