第9話
起きた。
ふーむ。
こいつは何故俺の腕に腕を巻いて寝ているんだ……謎だな……
…まぁ、いっか!
取り敢えずこいつ振り払って時間確認しよっと。
取り敢えず腕を振り払っ「う〜ん〜〜」
……振り払えないな…気持ちよさそうに寝てやがる…
なお、巻きつかれているのは左腕である
ベッドは部屋に入って正面から見て奥の左端にあるのでかなが壁の方で寝ている
と言うことだ…俺はいつも壁とベッドの間にある少ししかないわずかな隙間から充電器の先端を出している。そしていつもそこで充電しているのだが、今日の場合は少し違う。かなに独占されて充電器が使えなかったのだ。更に、いつもの癖でベッドの左側に携帯を置いてしまったのだ。ちなみに携帯はサブ端末だーーだっていつものやつだったらバレるしなーーだからあまり使わないっちゃ使わないんだが今は違う…
だって携帯見ないと時間見れないし家族のみんな寝てるかもしれないからな…
なおこの部屋には時計が無い模様……だってうるさいじゃん?
もうこうなったらヤケだ‼︎
そ〜とすればバレないよな?
ーーここからは実況していきます!ーー
蛍は勇気の一手を挙げた!
どこか震えている勇気の一手はスマホを狙っている!
動いた!仕掛けるつもりだ!さあ!一気に…とはいかないがそろ〜り、そろ〜りと
その手はスマホへ向かう!ああ!掴みました!その手は間違えることなく!これは自分のものだ!間違えんじゃねえぞと主張する様に!さあ!その手にある物を見た!
ーーかなの携帯っすねーー
うわ、めんど!
まあ良い…見るだけだからな…時間を見るだけだ…ついでにトプ画も見てしまうだけ…
決して興味があるわけではない!…本当ですよ…?
蛍はトプ画を見た瞬間!……自分の顔を見た
………?
ん?なぜに俺?
…………あ!そっか!そういうことか!分かったぞ!
こいつ…あれだ…こいつ…
友達少ないんだったわ!
だから唯一の友達の俺といった所か!
納得!納得!
……こうなったらこっちから友達申請してやるよ…可哀想だしな…後でだけど…
まず時間見るか……ふむ…6時半か、丁度いいな…兄が仕事に行く時間だ。
取り敢えず寝室から離れて電話かけてみるか…離せこのやろー!…よし!さてと、頼むぞぉ〜?
プルルルル〜
プルルルル〜
プルルルル〜
プルルルル〜〜〜ガチャ!
「はい〜?どちら様でしょう?」
よし!繋がったな!後は証明材料と要件を伝えるだけなんだが…
「あ、すみません!私は蟇目蛍というものなんですけど、あの〜お母様はいますでしょうか?」
「いますけど、…蛍という人の名前をどこで聞いたのですか?」
ふ〜む…流石に分からんか…
……まあ、わかったら逆に怖いが…
取り敢えずだ……話を聞いていない所にイラッとしたので
「自分の免許証や身分を証明できるものに蟇目蛍という自分の名前が書かれているのは不自然でしょうか?」
プチ!
切られた
イラッとしたので、後悔はしていない。
……とりあえず急いでかけ直さねば!
「あれ?美紅ちゃん起きてたんだ!おはよう!」
……起きやがった…タイミング悪いよ…
「起きたんですね。おはようございます」
「後ね、聞きたいことがあるんだけど…」
ん?なんだ?………あ
「私の携帯…見た?」
元に戻すの忘れてた……
…正直に言った方がいいかもな…
「あ、ごめんなさい!時間を確認しようと思ったんですけど間違えてしまったんです!」
「ふ〜ん?そういうことならいいんだけど…(トプ画見られたかなぁ?)」
よし!
なんとか変な疑いかからなくて良かったよ……なんかボソボソ言ってるけど。
「取り敢えず少し早いですけどご飯にしませんか?」
「は〜い!」
ワイワイ
ガチャガチャ
ワイワイ
「「ごちそうさまでした!」」
「あ!私そろそろ帰りますね!」
「了解です!……送りましょうか?」
「いえ、大丈夫です…ありがとうございます。」
「はい、じゃあ荷物取ってきますね」
「あ!大丈夫です!自分で取りに行きます!…って行っちゃった…何でもかんでもすぐに行動する癖抜けてないのね…」
はい‼︎
撃退成功だぁ‼︎
…ん?かな?帰りましたけど何か?
……それにしてもあいつ落ち着いた態度から急にはしゃぐような子供みたいにテンション上がっていく癖、まだ治ってなかったのか……普通1年も会話相手いたら会話の癖とか治るはずなんだけどな……あ!あいつ友達いないんだったわ!
というか、絶対人付き合いのある会社とかで働いてたらあいつの明るい性格なら友達や仕事仲間くらい絶対できるはずなんだが……変だな?
それか仕事とプライベートはちゃんと分けてるとかか?
……まあ思い通りにうまくいかない事は人間誰しもあるしな
あいつに話しかけてくれる奴がいる事を願おう。
……取り敢えずもう一回電話だ!
見てくれてありがとうございます!